原油先物、21年は65ドルへ　ウィーン氏の恒例「びっくり10大予想」

米投資会社ブラックストーン・グループのバイロン・ウィーン氏が4日、2021年の「びっくり10大予想」を発表。ワクチンの効果と治療法の改善により人々はイベントへの参加が可能になり、7月には東京五輪が開催されるとの見方を示した。原油先物価格は1バレル＝65ドルに上昇する見通しという。

同グループのプライベートウェルス・ソリューションズ・グループ副会長を務めるウィーン氏は、ウォール街のご意見番的存在で、1986年から年頭に発表する「びっくり10大予想」で知られる。

ウィーン氏の予想によると、5～10種類のコロナワクチンの成功と治療法の改善により、米国は今年のメモリアルデー（5月の最終月曜日）までに何らかの形の「正常」に戻ることが可能になる。

人々は航空機に搭乗する前、あるいは劇場・映画館に入る前やスポーツイベントなどの大規模な集まりに参加する前に予防接種の証明の提示を求められるようになるという。

7月には1年延期となった東京五輪が観客を伴い開催される見通しという。

S&P500種は4500に上昇へ

米国では累積した需要が景気回復に弾みをもたらすとみられ、財政と金融政策が緩和した水準を維持するなか、通年の名目経済成長率が6％を超える可能性がある。

新たな景気サイクルが始まり、それは10年から20年まで続いたサイクルを超え、歴史上最長になる見通しという。

一方、失業率は5％への低下が見込まれるとした。

株式市場は景気循環銘柄がディフェンシブ銘柄をリードし、また小型株が大型株を打ち負かすと予想。大型テクノロジー銘柄は出遅れるという。S&P500種株価指数は21年前半に約20％下げるが、その後4500まで上昇するとの見方を示した。

また、力強い成長を背景に、10年債利回りは2％に上昇すると予想。イールドカーブがスティープニングする一方、インフレ率が上昇することで、実質金利はゼロ付近で維持されるという。

住宅と自動車市場における持続的な強さを望む米連邦準備制度理事会（FRB）は、債券買い入れのデュレーションを延ばすと見込まれる。

4日の米国市場でS&P500種は3700.65で引けた。10年債利回りは0.91％で終えている。

WTI原油も上昇へ

ウィーン氏はまた、エネルギー企業にとって長期的な成長は低下しているものの、短期的な機会は増加していると指摘。世の中が「正常」に戻ることで、産業活動と移動の双方が活発化し、WTI（ウエスト・テキサス・インターミディエート）原油先物価格は65ドルに上昇するとの見方を示した。

ニューヨーク・マーカンタイル取引所（NYMEX）に上場するWTI原油先物の期近の2月限は4日、昨年12月31日に比べ0.90ドル（1.9％）安い47.62ドルで取引を終えた。

4日終値からウィーン氏が予想する65ドルまでは36.5％の上昇余地がある。

また、エネルギー関連の高イールド債の相場は健全に上昇するという。エネルギー株については、21年のベストパフォーマーの一角を成すとした。

ウィーン氏はサプライズの定義を、投資家の予想で発生の確立が3分の1である一方、自身は50％超とみるイベントとしている。

21年はこのほかにトランプ氏が自身のテレビ局を立ち上げ、また24年の大統領選への出馬を計画するといった予想が含まれる。トランプ氏と同様の運営スタイルを持つ国家首脳や企業トップとのトーク番組「The Chief」でプーチン氏へのバーチャルインタビューが実現し、歴史上最高の視聴率を稼ぎだすという。

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