リスク選好の流れに乗る豪ドル米ドル / リスク選好の流れに乗れないポンドドル
サマリー:「リスク選好相場の流れに乗っている通貨ペアとそうでない通貨ペアがある。豪ドル米ドルは前者、ポンドドルは後者にあたる。それぞれの注目ポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
リスク選好の流れに乗る豪ドル/米ドル
・市場心理は改善傾向にある
8日の米ドル相場は、前日に続き売り優勢の展開となった。
この日の米国株式市場では序盤こそ売りの局面が見られたが押し目買いにサポートされ、終わってみれば主要3指数は上昇して引けた。
米債市場では、長期金利(10年債利回り)が反発基調を維持。国際商品市況ではNY原油先物価格(WTI)が続伸し、CRB指数も反発のトレンドにある。
これら各市場の動きを受け、8日の米ドル相場は資源国通貨を中心に売り優勢の展開となった。
全般的にリスク資産が買われて安全資産(米国債や円)が売られる状況は、市場心理の改善を示唆している。
米ドル相場のパフォーマンス
・リスク選好の流れに乗る豪ドル/米ドル
この流れに乗っている通貨ペアが、今週このレポートで取り上げている豪ドル/米ドル(AUDUSD)である。
日足チャートを見ると、7日に上昇を止めた10日EMAとフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準がクロスしている0.7125前後を完全に突破した。そして8日のレポートで指摘した21日EMA(0.7188レベル)をトライする展開となっている。
今日の豪ドル/米ドルも株式にらみの展開となるだろう。上で述べたとおり市場心理が改善傾向にあることを考えるならば、21日線の上方ブレイクとフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準0.7206をトライする展開をベースシナリオとして想定しておきたい。
一方、株式市場、特に米国株が利益確定の売りなどで反落する場合は、豪ドル/米ドルも同じ展開になることを想定しておきたい。このケースでは、上で述べた10日線(0.7136レベル)がレジスタンスラインからサポートラインへ転換するかどうか?この点を確認したい。
豪ドル/米ドルのチャート
リスク選好の流れに乗れないポンドドル
一方、今のリスク選好の流れに乗れない通貨ペアがポンドドル(GBPUSD)である。昨日は、重要サポートポイントの1.3200を下方ブレイクし、安値1.3165レベルまで下落する局面が見られた。
冒頭の米ドル相場のパフォーマンスチャート(8日のパフォーマンス)を改めて確認すると、弱い米ドルに対して下落した数少ない通貨の一つがポンドであることがわかる。
12月の利上げ期待が後退しているタイミングで、オミクロン株の感染拡大を防止するために英国政府が新たな制限措置を導入することが英紙フィナンシャル・タイムズで報じられたことが、昨日のポンド相場の重石になったと考えられる(対円とユーロでもポンド売り優勢だった)。
豪ドル/米ドル(AUDUSD)とは違い、10日EMA(1.3267レベル)で戻りが抑制されているテクニカル面での状況も考えるならば、目先のポンドドルは1.32の完全ブレイクと、このレベルがレジスタンスポイントへ転換する可能性を意識する局面にある。
実際に1.32がレジスタンスポイントへ転換する場合は、昨日の安値1.3165レベル、そして1.3100レベルの攻防に注目したい。
1.31台をもあっさりと下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・プロジェクションの161.8%の水準1.3023レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。
一方、ポンドドルが反発する場合は、上で述べた10日線のトライおよび上方ブレイクが目先の焦点となろう。
ポンドドルのチャート
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