リスク選好と米ドル高の調整相場 / ドル円 目先の焦点は139円前半の攻防
リスク選好相場を受け外為市場では米ドル売りの展開に。今の状況は短期的な米ドル高の調整相場と想定しておきたい。ドル円は底堅さを維持している。しかし139円前半の攻防次第では反落リスクを警戒したい。その理由は?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
リスク選好と米ドル高の調整相場
【サマリー】
・米株高と米ドル安の関係
・現在の米ドル安は短期の「調整相場」と想定しておきたい
・ドル円は139円前半の“レジスタンス化”を警戒
・リスク選好と米ドル高の調整
19日の外為市場は、主要通貨(G10通貨)に対して米ドル安優勢の展開となった。米ドルが上昇したのは対円(USDJPY)のみ。言い換えれば、それだけ円売りの圧力が未だに根強いことを昨日の外為市場は示唆している。
米ドル相場のパフォーマンス(対G10通貨)
米ドル売りの要因となっているのが、株式市場の反発にあると考えられる。
特に注視すべきは米国の株式市場の動きである。米国株のトレンドを示すS&P500指数(SPX)は今月14日以降、反発の基調にある。昨日はレジスタンスポイントとして意識される可能性のあった3,900ポイントの突破に成功した。そして、5月下旬から6月上旬にかけて相場の戻りを止めた50日線(EMA)のトライが次の焦点として浮上している。
S&P500指数の動きに米ドル相場のトレンドを示すドルインデックスの動きを重ねて見ると、「株高/米ドル安」の関係(=リスク選好の米ドル売りの関係)となっていることがわかる。
S&P500指数とドルインデックスの推移
・米ドル高トレンドは続く
現在の米ドル安は、短期的な「米ドル高の調整相場」と想定しておきたい。インフレの動向次第では、米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅利上げのスタンスを維持する可能性がくすぶる。この点が意識され、米債市場では短期ゾーンを中心に利回りの上昇が続いている。
また、欧州の地政学リスク(ロシアーウクライナ紛争)や世界的な金融引き締めにより景気後退の可能性が高まっている状況も考えるならば、リスク回避(株安)の局面は今後も散見されることが予想される。
米ドル相場を取り巻く状況を考えるならば、現在の米ドル安は一過性の現象で終わる可能性がある一方、米ドル高トレンドはもうしばらく続くことが予想される。
ドル円 目先の焦点は139円前半の攻防
・139円前半の“レジスタンス化”
ドル円(USDJPY)は、調整の反落を挟みながら底堅さを維持している。
日米の金融政策スタンスの差がドル円の上昇を支えているが、今の状況が続くかどうかは139円前半の攻防―具体的には、地合いの強さが続く間に19日のレポートで指摘したフィボナッチ・プロジェクション76.4%の水準139.12レベルおよび7月14日の高値139.38レベルを突破できるかどうか?この点が重要な焦点になると筆者は考えている。
ドル円の予想変動率を確認すると、1週間のそれは9%台から12%台へ上昇している。
一方、1ヶ月のそれは、6月16日に15.80%台まで上昇した後はジリジリと低下している(現在は11.80%台で推移)。2022年に入り、1ヶ月の予想変動率とドル円のトレンドはほぼ一致している。しかし、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降は両者にかい離が見られる。5月の動き(予想変動率の低下とドル円の下落が連動した動き)を考えるならば、ドル円は予想変動率のトレンドに従い反落する可能性がある。
チャート分析の観点から、その(反落の)きっかけとなり得るのが、139円前半の“レジスタンス化”であることを意識しておきたい。
ドル円と予想変動率(1ヶ月)の推移
・“レジスタンス化”の要因
139円前半が“レジスタンス化”する要因として、株安の再燃もしくはFRBによる大幅利上げの可能性が急速に後退するかどうか?に注目しておきたい。どちらの要因も、目先は米欧の中銀イベントを受けて発生する可能性がある。よって、21日の欧州中央銀行(ECB)理事会と来週のFOMCは、ドル円が140円を目指すかどうかを見極める上で重要なイベントとなろう。
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