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株安でも円安 / ユーロ円とドル円 目先の注目ポイントについて

外為市場では株安でもユーロ円が上昇している。この動きは、国内外の金融政策スタンスの差が外為市場で重要視されていることを示唆している。この点はドル円も同じである。目先のユーロ円とドル円のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

株安でも円安 ユーロ円は短期レジスタンスラインの攻防に


【サマリー】
・株安でも円安
・ユーロ円が示唆する今の円相場の状況
・ユーロ円は早くも短期レジスタンスラインの攻防が焦点に
・ドル円の焦点は7月高値139.39のトライそしてブレイク



・株安でも円安 ユーロ円のパフォーマンスが示唆すること

先週26日のジャクソンホール会議での講演で米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレ抑制重視のスタンスをあらためて表明した。

それ以降、米国の株式市場では株安の圧力が高まりS&P500指数(SPX)、ダウ平均(DJI)そしてナスダック総合指数はいずれも50日線(MA)を下方ブレイクする状況となっている。
相場が反転した8月16日以降のパフォーマンスを確認するとナスダック総合指数が9%超と下落幅が拡大している。この動きは、持続的な金融引き締め政策に対する投資家の警戒心の表れだろう。

また、8月16日以降の世界株式(MSCI World Index)の下落率はダウ平均のそれを超え、S&P500指数のそれに肉薄しており、米国のみならず世界の株式市場が再び不安定化している。

米国株と世界株のパフォーマンス(%)

米国株と世界株のパフォーマンス(%) 基準日:2022年8月15日


しかし、外為市場では株安にもかかわらず円安優勢の局面が見られる。

これまでのように必ずしも「株安→円高」の展開とはならないこと、または円買いが限定的である状況は、国内外の金融政策スタンスの差が外為市場で意識されているからだろう。

この点を示唆しているのが、対ユーロでのパフォーマンスである。昨日の主要通貨(G10通貨)に対する円相場のパフォーマンスを確認すると、対ユーロで下落幅が拡大した。さらに過去5日間のパフォーマンスでも、やはり対ユーロで円安が加速していることがわかる。

この要因は、欧州中央銀行(ECB)による大幅利上げの観測にあると考えられる。

欧州中央銀行(ECB)理事会(9月8日開催)を直前に控えたタイミングで、75bps(ベーシスポイント)の大幅利上げの可能性が急浮上している。昨日、理事会メンバーのミュラー・エストニア中銀総裁は、75bpsの利上げが選択肢にあると述べた。

今日は8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表される。予想中央値は9.0%(前年同月比)。前月の8.9%からインフレが加速する見通しである。コア指数(同比)も4.0%から4.1%へ上昇する見通しとなっている。
今回のHICPで注目すべき点は、インフレの加速が確認される場合のユーロ相場の反応である。これが確認される場合、次回のECB理事会で大幅利上げが決定される可能性が高まるだろう。

一方、高インフレはユーロ圏の景気を後退させる要因でもある。ECB理事会までユーロ買いトレンドが継続するかどうか?この点を見極めるため、今日はHICPの内容とそれに対するユーロ相場の反応を注視したい。

円相場のパフォーマンス

円相場のパフォーマンス

・ユーロ円は早くも短期レジスタンスラインの攻防が焦点に

ECBがよりタカ派スタンスへ傾斜する可能性を意識し、ユーロ円(EURJPY)は3日連続で陽線が示現。今月30日のIGレポートで指摘した50日線(MA)のブレイクに難なく成功すると、短期レジスタンスラインを早くもトライする展開となっている。

このラインの突破にも成功すれば、テクニカルの面ではユーロ円の上昇幅が拡大するシグナルとなり得る。

ユーロ円が短期レジスタンスラインの突破に成功する場合、次のレジスタンスポイントとして注目したいのが、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準140.12レベルである。

一方、短期レジスタンスラインでユーロ円の上昇が止められる場合は、138.00レベルがレジスタンスからサポートへ転換するかどうか?この点を確認したい。

ユーロ円の下落幅が拡大し138.00を下方ブレイクする場合、次の焦点は21日線(MA)の維持となろう。この移動平均線は8月9日以降、レジスタンスとして相場の戻りを止めてきた経緯がある。その移動平均線がサポートへ転換すれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。

ユーロ円のチャート

ユーロ円のチャート TradingView 日足(今年6月以降)

ドル円の焦点は7月高値139.39のトライそしてブレイク

ユーロ円(EURJPY)のトレンドを左右しているのが、ドル円(USDJPY)である。そのドル円は、138円台の維持に成功している。

ドル円のトレンドに大きな影響を与えている米債市場では現在、景気の先行きリスクよりもインフレリスクの方が強く意識される状況にある。MACDはドル円の地合いの強さを示唆する動きが続いている。これらの動向を考えるならば、ドル円の焦点は7月高値の139.39レベルのトライそしてブレイクである。

実際にドル円が139.39レベルの完全突破に成功する場合は、フィボナッチ・プロジェクション38.2%の水準139.84の攻防に注目したい。ドル円がこの水準をも突破する場合、節目の140.00トライは時間の問題となろう。

一方、139円前半でドル円が反落する可能性(調整の反落相場)も想定しておきたい。昨日の日足ローソク足は下陰陽線だった。高値圏での下陰陽線は、市場参加者の気迷いシグナルである。

米金利が大きく低下しない限り、ドル円の上昇トレンドが転換する可能性は低い。しかし、今の米金利の水準を考えるならば、値ごろ感を意識した調整の米債買いが入る可能性がある。

ドル円が反落する場合は、29日のIGレポートで指摘した137.50レベルが、レジスタンスからサポートへ転換するかどうか?まずは、この点を確認したい。

ドル円のチャート

ドル円のチャート TradingView 日足(今年3月以降)

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