アップル、新端末「ビジョン・プロ」を公表 ゴーグル型 株価は下落
アップルが新端末「ビジョン・プロ」を公表した。パソコンやスマホに並ぶ新製品分野との位置づけだが、5日の株価は下落した。
アップルは5日(日本時間6日未明)、ゴーグル型の新端末「Vision Pro(ビジョン・プロ)」を公表した。最先端の拡張現実(AR)技術を用いて、現実空間の中に浮かび上がるように表示されるさまざまなアプリを使うことが可能。アップルはパソコンやスマートフォンに匹敵する新たな製品分野を切り拓く製品だとしている。しかし5日のアップルの株価は前日終値比で0.76%下落した。
ビジョン・プロの価格は3499ドル
ビジョン・プロはこの日からオンライン開催が始まった、毎年恒例のアプリ開発者向けイベント「ワールドワイド・デベロッパーズ・カンファレンス(WWDC)」でお披露目された。価格は3499ドルで、2024年初めに米国内で販売を始め、その後、年末までに米国外でも販売する。事前報道では3000ドル程度の価格と、早ければ今年秋の販売開始が予想されていた。
ティム・クックCEOはビジョン・プロを紹介する動画で、「Mac(マック)」として知られるアップルのパソコンが個人が使えるコンピューターを実現し、スマートフォンのiPhoneが持ち運びできるコンピューターという分野を開拓したことを指摘。今回公表されたビジョン・プロは「空間コンピューティング」という新しいジャンルの製品になると強調した。
12個のカメラと5つのセンサーを装備
ビジョン・プロは目の周りを覆うようにして装着するゴーグル型の端末。内側や外側に12個のカメラと5つのセンサー、6つのマイクがあり、周囲の状況のほか、目や手の動きを感知することができる。アプリは、実際の周囲の様子を背景にして、目の前に浮かび上がるように表示される。アプリの画面の大きさは自由に変えられるので、自分の周りに小さな画面を数多く配置したり、一つの画面を拡大して自分を取り囲むように表示することも可能だ。アプリの操作は視線や手、指先を動かすことで行うほか、文字は音声で入力する。
テレビ会議のアプリを使う場合は、ビジョン・プロのカメラで事前に作成した実物さながらの自分のアバター(ペルソナ)が相手の画面に表示される。アバターには目や頭の動きが反映されるため、あたかも本人がゴーグル型端末を装着せずに話しているかのように表示される。また、ビジョン・プロの外側に利用者の目の表情をとらえた画像を映し出すことで、周囲の人とのコミュニケーションもとりやすくなるという。電源はコンセントからとることが可能。コードでつながる外付けのバッテリーを使う場合は2時間使用できる。
WWDC初日の株価は下落
ただ、WWDC開幕直前に184.9ドル程度まで上昇していたアップルの株価(チャート)は開幕後に一時、178.0ドル程度まで値下がりする場面もあった。5日の終値は179.58ドル(前日比0.76%安)で、ナスダック総合指数の騰落率(0.09%安)を下回る結果だった。同じIT大手のアマゾン・コム(チャート)やアルファベット(チャート)の株価は値上がりしている。アップルに先駆けてゴーグル型端末を展開しているメタ・プラットフォームズの株価(チャート)は0.45%の下落だった。
アップルの株価は5月4日の2023年1-3月期決算発表後、6月2日までに9.1%上昇。ビジョン・プロ公表後に下落した5日の終値でも、年初からの上昇率は38.6%に達している。ただ、ビジョン・プロがアップルのアピール通りに新しい製品分野を切り拓けるかは、今後、どのようなアプリが開発されていくかにかかっている部分が大きい。気軽に購入できる価格帯の製品ではないこともあり、公表直後から投資家の熱狂に火がつくわけではなかったようだ。
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