オーストラリア、物価上昇加速予想 豪ドル高再び? 為替介入には緊張感
オーストラリアの2月のCPIは伸び率が加速する予想。豪ドル円相場での豪ドル高要因だが、為替介入への警戒感も強い。
オーストラリア統計局が27日に発表する2月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇率が1月よりも高くなると見込まれている。予想通りになれば5か月ぶりの物価上昇加速で、中央銀行のオーストラリア準備銀行(RBA)にとっては利下げが難しくなる要因になりそうだ。豪ドル円相場は21日に、約9年3か月ぶりの豪ドル高水準である1豪ドル=100円台をつけただけに、改めて豪ドル高への動きが出ることも想定される。ただし日本政府は急激な円安進行に神経を尖らせており、FX相場の先行きをめぐる不透明感は強い。
オーストラリアの2月CPIの伸び率は3.6%の予想
オーストラリア統計局は27日午前11時30分(日本時間27日午前9時30分)に2月CPIを発表する。ロイターがまとめた事前調査によると、総合指数の伸び率は前年同月比3.6%になるとみられ、1月の3.4%から物価上昇が加速する見通し。物価上昇率が前月よりも高くなるのは9月以来で、オーストラリアの物価上昇の根強さが感じられそうだ。
こうした物価動向はRBAの金融政策のかじ取りを難しくする。RBAは18、19日の理事会では1月までの物価上昇減速を踏まえ、3会合連続で政策金利を維持。同時に、声明文では、「サービス価格の上昇率は高いままだ」などとも強調し、今後の金融政策の方向性については「決まっていることはなく、排除されていることもない」と言及していた。
豪ドル円相場ではRBA理事会後に豪ドル高が進行
ただ、FX市場の反応は複雑だ。RBAの声明文は、2月理事会後の声明文での「さらなる政策金利の引き上げも排除することはできない」との文言は削られており、金融市場ではRBAが利上げを行う可能性が低くなったと受け止められた。このため19日のFX市場では、豪ドルがドルに対して約0.5%安くなった。
一方、19日には日本銀行が大規模金融緩和策の終了を決めるとともに今後も緩和的な金融環境を維持することを強調し、ドル円相場(USD/JPY)では約1.1%の円安が進行。結果として、豪ドル円相場(AUD/JPY)では豪ドルが円に対して約0.6%高くなった。
日本政府の為替介入への警戒は円高要因
さらに米連邦準備制度理事会(FRB)が20日までの連邦公開市場委員会(FOMC)に際して、年内に3回の利下げを行う方向性を維持すると、FX市場ではドル安が進行。豪ドルがドルに対して強くなった影響で、豪ドル円相場ではさらに豪ドル高が進んだ。LSEGのデータによると、豪ドル円相場は21日には一時、1豪ドル=100.12円をつけ、2014年12月9日(100.19円)以来の円安豪ドル高水準となった。
豪ドル円相場は25日午前の段階では98円台で取引されており、27日の2月CPI発表で物価上昇の根強さが意識されれば豪ドル高が再燃する筋書きも考えられそうだ。ただ、FX市場をめぐっては、神田真人財務官が25日朝、記者団に対して「すでに準備はできている」と述べ、投機的な円安の動きに対しては為替介入で対応する可能性を強く示唆。日本政府の為替介入に対する警戒感が、今後の豪ドル円相場で円高の流れを強めることも想定される。
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