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豪ドル安急進95円 トランプ効果 オーストラリア中銀は維持見通し

豪ドル円相場は2週間で4.7%下落。円高に加え、トランプ氏の動向を背景とした豪ドル安も同時進行している。一方、RBAは政策金利を維持する見通しだ。

豪ドル安急進95円 トランプ効果 オーストラリア中銀は維持見通し 出所:Adobe Images

豪ドル円相場で豪ドル安が急進している。6日のニューヨーク市場の終値は1豪ドル=95ドル台で、9月中旬以来の豪ドル安水準。直近の2週間で4.7%の豪ドル安が進んでいる。ドル円相場で進行する円高に加え、アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が繰り返す中国との対決姿勢がオーストラリア経済の見通しを悪くするとの懸念も背景にある。一方、オーストラリア準備銀行(RBA)は9、10日の理事会で政策金利の維持を決める見込み。豪ドル円相場の今後の見通しは円高の行方とトランプ氏の言動に左右される度合いが大きくなりそうだ。

【関連記事】豪ドル乱高下 中国経済期待で一時97円台 RBA利下げ見通しは拡大(2024年12月10日)

豪ドル円相場は95円台まで豪ドル安進行 9月中旬以来の水準

豪ドル円相場(AUD/JPY)の6日の終値は1豪ドル=95.87円。ブルームバーグによると、前日比0.99円の豪ドル安で、9月16日(94.94円)以来の豪ドル安水準となった。2週間前の11月22日(100.61円)との比較では、4.71%の豪ドル安が進んだことになる。12月9日午前の東京市場でも95円台後半で推移している。

豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

こうした豪ドル安はFX市場での円高の影響が大きい。ドル円相場(USD/JPY)の6日の終値は1ドル=150.00円で、2週間で3.19%の円高となった。また、FX市場では同じ2週間で、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)が1.69%の豪ドル安に振れている。豪ドルの対ドル相場は12月に入ってから、円やポンド、ユーロの対ドル相場と比べて下落傾向が目立っている。

豪ドル、円、ポンド、ユーロの対ドルレートの推移のグラフ

トランプ氏の中国への圧力が豪ドル安要因として作用 中国大使に対中強硬派

豪ドルの下落圧力として働いているのはトランプ氏の動向だ。トランプ氏は11月30日夜にSNSへの投稿で、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカで構成されるBRICSが独自通貨の発行を目指すことを牽制。基軸通貨であるドルに対抗する動きがあれば、「これらの国は100%の関税に直面する」として米国市場から締め出す考えを示した。オーストラリア経済は中国との関係が強く、FX市場では中国経済の悪化は豪ドル安の見通しを強めるとみなされてきた。週明け2日の豪ドルの対ドル相場は前週末比0.57%の豪ドル安となった。

またトランプ氏は12月5日夜に中国大使としてデービッド・パデュー元上院議員を中国大使として指名。米政治メディアのポリティコによると、パデュー氏は中国大使候補となっていた3人の中で最も中国に対する強硬姿勢が厳しいという。6日のニューヨーク市場での豪ドルの対ドル相場は0.96%の豪ドル安だった。

オーストラリア中銀は政策金利を維持する見通し 物価上昇に根強さ

一方、オーストラリアの中央銀行にあたるRBAが10日午後2時30分(日本時間10日午前12時30分)に発表する理事会の結果は、9会合連続で政策金利が4.35%で維持される見通しだ。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている利下げ確率は日本時間9日午前11時30分段階で6.9%に留まっている。RBAは11月4、5日の理事会後の声明文では物価上昇率の高さに警戒を示しており、利下げへの期待は強まっていない。

実際、オーストラリア統計局が11月27日に発表した10月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比での伸び率は、変動率が大きい品目を除外した刈り込み平均で3.5%となり、9月の3.2%から上昇した。これに対して総合指数の伸び率は2.1%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.3%を下回ったものの、RBAの物価見通しには影響を与えていないとみられている。

オーストラリアの消費者物価指数の伸び率の推移(総合、刈り込み平均)

このためドル円相場の今後の見通しは、円高やトランプ氏の動向から受ける影響が大きくなりそうだ。9日のドル円相場は1ドル=149円台後半で推移しており、円高進行にはブレーキがかかっているが、日本銀行が18、19日の金融政策決定会合で利上げするとの期待が強まっていけば、豪ドル円相場では豪ドル安となって現れる可能性もありそうだ。


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