豪ドル高100円台 中国経済に期待 RBA利下げ見通し変わらず
豪ドル円相場は2か月ぶりの100円台を記録。中国経済への期待とオーストラリア国内の物価上昇懸念が材料視されている。
豪ドル円相場で豪ドル高が進行している。27日の東京市場の取引では2か月ぶりに1豪ドル=100円台を記録。豪ドルは対ドル相場でも上昇しており、ドル円相場での円安との相乗効果が出ているかたちだ。利下げを決めた中国の経済回復への期待と、オーストラリア国内の物価上昇懸念が豪ドル高要因として意識されている。ただし金融市場ではオーストラリア準備銀行(RBA)が年内に利下げに踏み切るとの見通しは崩れていない。中国経済の先行きには不透明感もあり、今後、豪ドル高にブレーキがかかる可能性もある。
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豪ドル円相場は一時、100.21円 2か月ぶり豪ドル高
豪ドル円相場(USD/JPY)は日本時間27日午前の取引で、1豪ドル=100.21円をつけた。LSEGによると、100円台をつけるのは7月31日の高値(100.10円)以来。豪ドル円相場は11日には93.60円をつける場面もあったが、2週間あまりで7%の豪ドル高が進んだことになる。
中国経済回復期待とオーストラリアの物価上昇懸念が要因
FX市場での豪ドル高要因として意識されているのは中国経済回復への期待だ。中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は24日、市中銀行に適用する預金準備率を0.5%幅で引き下げると発表。同時に不動産市場への支援策なども明らかにした。こうした景気刺激策が中国経済を後押しするとの見通しは鉄鉱石などの資源価格を上昇させ、資源国であるオーストラリア経済の追い風になるとの見方がでている。
またオーストラリア経済をめぐっては物価上昇再燃への懸念も残っている。25日に発表された8月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数の伸び率が前年同月比2.7%となり、7月の3.5%から大きく低下。しかし政府による電気料金に対する補助金などの影響が大きく、価格変動が大きかった品目を除いた刈り込み平均での物価上昇率は3.4%だった。
オーストラリア中銀の年内利下げ見通しに変化なし
オーストラリアの中央銀行にあたるRBAは中国が利下げを発表した24日までの理事会後の声明文で、2026年までは、物価上昇率が目標範囲(2-3%)で安定的に推移することはないとの見通しを示していた。一方、RBAは利上げへの距離も感じさせたが、すでに利下げに踏み切っている欧米の主要中銀とは色合いが異なる。
ただし、FX市場での豪ドル高とは裏腹に、金融市場ではRBAが年内に利下げに踏み切るとの見通しが根強い。LSEGによると、RBAが12月までに利下げに踏み切ることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間27日午前11時段階で62%。中国やオーストラリアの金融政策が発表された24日夕方段階での63%から大きな動きは出ていない。
豪ドル高の要因となった中国経済の回復見通しには不透明感もある。中国政府が追加の経済対策に踏み切る可能性はあるものの、内容次第では期待外れとの評価を受けるおそれもあり、中国政府の動向が豪ドル円相場の先行きを改めて左右することも想定されそうだ。
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