豪ドル高継続か オーストラリア中銀、物価加速警戒 8月は減速見通し
豪ドル円相場はオーストラリア中銀の理事会発表後、上下に揺れた。RBAは物価上昇を警戒しているが、金融市場での利下げ観測も根強い。
豪ドル円相場で豪ドル高が継続する可能性が出てきた。オーストラリア準備銀行(RBA)が24日に発表した理事会後の声明文で、物価上昇への警戒感を示したためだ。豪ドル円相場は声明文発表後、一時、1豪ドル=98円台後半まで豪ドル高が進行した。ただ、ミシェル・ブロック総裁の記者会見は、豪ドル安材料ともみなされ、金融市場では年内利下げ観測も根強く残っている。一方、25日に発表される8月の消費者物価指数(CPI)は伸び率が大幅に低下する見通しだが、電気代に関する政府の補助制度による押し下げ効果が見込まれるためで、豪ドル円相場への影響は大きくならない可能性がある。
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豪ドル円は一時、98.92円 豪ドル高が進行
豪ドル円相場(AUD/JPY)は日本時間24日午後の取引で一時、1豪ドル=98.92円をつけた。9月3日の高値(99.81円)以来の豪ドル高水準で、23日のニューヨーク市場の終値(98.17円)から豪ドル高が0.75円進んだ形だ。豪ドル円相場ではこれまでもオーストラリアの労働市場の強さなどを背景にして豪ドル高が進んでおり、こうした流れに拍車がかかった。
豪ドル高のきっかけはRBAが24日に公表した理事会後の声明文。RBAは今回の理事会で政策金利の維持を決めつつ、声明文では「RBAの現在の予想では、物価上昇率は2026年までは、目標範囲(2-3%)に持続的に戻る状態にはならない」と分析。物価上昇率が高止まりするとの見方を示した。同時にRBAは金融政策の見通しについて、利上げと利下げの両方を排除しないとの立場を維持したが、物価上昇をめぐるリスクを強調したことが豪ドル高材料としてみなされた。
RBA総裁の記者会見は豪ドル安材 年内利下げ確率63%
しかし24日の東京市場では、RBAへの利下げへの期待の根強さを感じさせる値動きも目立った。豪ドル円相場では、日本時間午後2時30分からブロック氏の記者会見が始まると、急激に豪ドル安が進行。1豪ドル=98.30円程度をつける場面もあった。ブロック氏が今回の理事会では「利上げに絞った検討は行わなかった」と述べたことなどが材料視されたためだ。
LSEGのデータによると、RBAが年内に利下げを決めることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間24日午後5時30分の段階で63%。RBAの物価上昇への警戒感にも関わらず、金融市場での利下げ観測は根強く残ったままだ。
8月の物価上昇率は電気代補助の影響で大幅低下見通し
一方、オーストラリア統計局が25日午前11時30分(日本時間25日午前10時30分)に発表する8月CPIは伸び率が大幅に低下する見通しだ。ロイターがまとめた事前予想では、総合指数の伸び率は前年同月比2.7%となり、7月の3.5%から物価上昇が急激に減速すると予想されている。
ただし、8月の物価上昇率低下見通しは、7月から段階的に始まった電気料金に対する補助金などによる物価水準の押し下げという特殊要因の影響があるためで、RBAにとっては安心材料とはならなさそうだ。RBAは24日の声明文でこうした政策による物価上昇減速は「一時的なものだ」としている。このため8月CPIの伸び率が大幅に低下したとしても豪ドル円相場への影響が限定的になる可能性もありそうだ。
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