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豪ドル高加速も 29日CPI オーストラリア物価減速の見通しは?

豪ドル円相場は11年1か月ぶりの104円台。4月CPIが物価上昇減速を感じさせなければ、さらなる豪ドル高が進む可能性も。

豪ドル高加速も 29日CPI オーストラリア物価減速の見通しは? 出所:ゲッティ

豪ドル高が加速する可能性がでている。オーストラリア統計局が29日に発表する4月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率の減速がわずかにとどまる見通し。物価上昇の沈静化が進んでいないとみなされれば、オーストラリア準備銀行(RBA)の利上げへの警戒が再燃することも考えられるからだ。豪ドル円相場はすでに1豪ドル=104円台という約11年1か月ぶりの豪ドル高水準に到達。このところの豪ドル高は円が弱くなったことの影響が大きいものの、オーストラリアの4月CPI発表を機に、今度は豪ドルを買う流れが強まることも想定される。

オーストラリアの物価上昇率は3.4%になる見通し

オーストラリア統計局は29日午前11時30分(日本時間29日午前10時30分)に4月CPIを発表する。ロイターがまとめた事前予想では、総合指数の伸び率は前年同月比3.4%となる見通し。予想通りになれば、3月の3.5%からは減速するものの、12月から2月まで続いた3.4%と同じ水準となり、物価上昇率の低下がなかなか進まないとの印象を強めそうだ。

オーストラリアの物価上昇率(CPI、総合、コア)の伸び率の推移のグラフ

物価上昇減速の見通しが強まらないとみなされれば、RBAが利上げに踏み切るとの観測が再燃する可能性もある。ミシェル・ブロック総裁は7日の理事会後の記者会見で、現在の政策金利の水準(4.35%)は「引き締め的だ」と何度も言及し、現状では利上げは必要ではないとの立場を強調。しかし声明文は今後の金融政策の見通しについて「決まっていることはなく、排除されていることもない」との表現を維持しており、将来的な利上げの可能性が完全に否定されているわけではない。

LSEGのデータによると、RBAが8月の理事会までに利上げを決めることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間28日午前11時現在で約1.6%でしかない。ただ、理事会前の5月上旬の段階では39%程度まで高まっていたこともあり、4月CPIの結果がRBAの金融政策をめぐる観測を左右する可能性も考えられそうだ。

豪ドル円相場は11年1か月ぶりの豪ドル高水準で推移

こうした中、豪ドル円相場(AUD/JPY)では豪ドル高が進行している。豪ドル円相場は28日の東京市場では1豪ドル=104円台前半で推移。15日以来の104円前後での値動きが続いている。豪ドル円相場が104円台をつけるのは2013年4月中旬以来だ。理事会前の水準(101円台後半)との比較では2.4%程度の豪ドル高水準といえる。

豪ドル円相場の推移と主な出来事のグラフ

ただ、このところの豪ドル円相場を動かしているのは円側の要因が大きそうだ。豪ドルの強さをドルとの関係でみると、足元の水準は理事会前の水準と比べて約0.5%の豪ドル高水準。一方、円はこの間、ドルに対して約1.9%も弱くなっている。ドル円相場(USD/JPY)は1ドル=153円台から、157円台まで円安ドル高に振れた

仮にオーストラリアの4月CPIが物価上昇減速の見通しを暗くすれば、円安傾向に加えて、豪ドル高の流れも強まる筋書きが考えられる。また、アメリカで30日に発表される2024年1-3月期GDP改定値や、31日発表の4月の個人消費支出(PCE)物価指数の結果に対する豪ドルと円の反応の大きさの違いが、豪ドル円相場を左右することも想定されそうだ。


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