豪ドル高再燃 オーストラリア中銀、物価上昇警戒 利上げ見通し復活
豪ドル円相場は19日、1豪ドル=105円台で推移。RBAの理事会後の声明文で物価上昇への警戒が感じられたためで、約16年ぶりの豪ドル高が視野に入る。
豪ドル高がFX市場で再燃した。19日の豪ドル円相場は1豪ドル=105円台で推移。16年ぶりの豪ドル高水準が目前に迫っている。オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)が前日に発表した理事会の声明文で物価上昇への警戒感が感じられたためだ。金融市場ではRBAが8月理事会で利上げするとの見通しも復活し、豪ドル買いの流れが強まっている。ただしRBAは利上げと利下げの両方を排除しない姿勢を維持しており、先行きは引き続き不透明だ。
豪ドル円相場では105円台まで豪ドルが上昇
LSEGによると豪ドル円相場(AUD/JPY)は日本時間19日午前11時の段階で1豪ドル=105円台前半で推移している。前日午前の104円台前半から約1円の豪ドル高が進んだ形だ。取引時間中に2013年4月11日につけた高値の105.43円を超えれば、2007年11月7日の高値(107.16円)以来、16年7か月ぶり豪ドル高水準となる。
オーストラリア中銀は理事会後の声明文で物価上昇を警戒
豪ドル高を加速させたのは18日に発表されたRBAの声明文だ。RBAは17、18日の理事会で市場予想通り、5会合連続での政策金利維持を決定。同時に声明文では物価上昇率が目標とする2-3%の範囲に持続的に収まるには「まだしばらく時間がかかる」とした。さらに最近の経済指標の内容はまちまちだとしつつ、「物価上昇が加速するリスクを注視する必要がある」と強調した。ミシェル・ブロック総裁は記者会見で物価上昇率目標の達成のためには「まだやらなければならないことが多くある」と述べた。
オーストラリアの消費者物価指数(CPI)は4月の総合指数の伸び率が前年同月比3.6%となり、2022年12月につけたピークの8.4%からは大きく減速している。しかしRBAは声明文で「目標とする2-3%の中間点までは依然として開きがある」と指摘し、根強い物価上昇への警戒を露わにした。
オーストラリア中銀の8月利上げ見通しが再燃
こうした中、金融市場ではRBAが利上げに向かうとの見通しが再燃している。LSEGによると、RBAが次回8月の理事会で利上げすることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間19日午前11時段階で約10%。RBA理事会の結果発表前のほぼゼロ%の状況から上向いた。一方、年内利下げの確率は約34%とみつもられ、こちらは理事会結果発表前の59%程度から低下している。
ただオーストラリア経済は減速傾向にあり、RBAが実際に利上げに踏み切れば景気後退を招く不安もある。2024年1-3月期GDPの実質成長率は前期比0.1%という低水準。RBAの政策金利が2023年11月から4.35%という2011年以来の高さに設定されていることが要因のひとつだ。RBAは「経済の見通しは極めて不透明だ」としており、利上げと利下げをともに排除しないとの立場を維持している。
RBAの8月5、6日の理事会までには5月と6月のCPIの結果も分かる。経済指標の結果次第でRBAの金融政策の見通しが変化し、豪ドル円相場を上下に揺らす可能性がありそうだ。
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