豪ドル高減速 オーストラリア中銀の利上げ見通し消える 年内利下げか
豪ドル高は105円台を目前にブレーキ。RBAは18日までの理事会での政策金利維持が確実視されているが、年内利下げには不透明感もある。
豪ドル高の勢いが衰えている。オーストラリア準備銀行(RBA)は18日までの理事会で政策金利を維持する見通し。経済成長の減速を受け、金融市場でくすぶっていた利上げ予想はほぼ消えており、豪ドル円相場は1か月にわたって1豪ドル=104円前後での推移が続いている。RBAとは対照的に、日本銀行の利上げ見通しが強まってきたことも豪ドルが買われにくくなっている要因といえそうだ。ただしRBAのミシェル・ブロック総裁は物価上昇の根強さへの警戒も緩めておらず、金融市場で見込まれている年内利下げが実現するかには不透明さもある。
オーストラリア中銀は18日に政策金利を維持する見通し
オーストラリアの中央銀行にあたるRBAは18日午後2時30分(日本時間18日午後1時30分)に理事会の結果を発表する。ロイターがまとめた事前予想では、43人のエコノミスト全員が政策金利が4.35%で維持されると予想している。またLSEGのデータでも今回の理事会での政策金利維持について投資家の動向から算出される確率は、日本時間17日午前11時の段階で約97%という高さだ。さらに8月理事会でも現状維持の確率が約97%と見込まれており、6月3日段階で8%あった利上げ確率はほぼゼロとなっている。
オーストラリアの利上げ見通しを消したのは経済成長の弱さだ。5日に発表された2024年1-3月期GDPでは、実質成長率が前期比0.1%となり、市場予想の0.2%を下回る結果。ロイター通信によると、ブロック氏は5日のGDP発表前の議会証言で「オーストラリア経済は本当に非常に弱い」と述べていた。オーストラリア経済をめぐっては、5月29日発表の4月消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を超え、利上げ観測がくすぶってきたが、経済成長減速が利上げ見通しを打ち消す結果となった。
豪ドル円相場での豪ドル高は105円台には至らず
こうした中、豪ドル円相場(AUD/JPY)では豪ドル高の勢いが止まっている。豪ドル円相場は2月1日には1豪ドル=95.5円をつける場面もあったが、5月15日には104円台まで急騰。しかしその後は105円台突入には至っていない。オーストラリアの経済情勢に加え、3月に大規模金融緩和を終えた日銀が利上げを見据えた金融政策にシフトしていることも、豪ドル高を阻む要因になっていそうだ。LSEGによると、日銀の7月末の金融政策決定会合での0.1%利上げについて、金融市場では約31%の確率が見込まれている。
ただしRBAは物価上昇の根強さへの警戒も続けている。ブロック氏は3月理事会以降、利上げと利下げのいずれも排除しないと繰り返しており、5日の議会証言でもその立場を維持した。このため、RBAが18日に公表する理事会後の声明文や、ブロック氏の記者会見のトーン次第では金融市場で改めて物価上昇の根強さが材料視される可能性もある。金融市場ではRBAの年内利下げの確率が59%程度あるとみられているが、18日の理事会後に利下げ見通しが後退し、豪ドル高が改めて強まる可能性もぬぐえない。
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