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豪ドル高が98円台 オーストラリア中銀、年内利下げ見通し後退

豪ドル円相場は98円台まで豪ドル高が進行。RBAの利下げ見通しは後退しているが、24日までの理事会で示される金融政策の方向性が焦点だ。

豪ドル高が98円台 オーストラリア中銀、年内利下げ見通し後退 出所:Adobe Images

豪ドル円相場で豪ドル高が進んでいる。23日午前の東京市場での豪ドル円相場は、1豪ドル=98円台で推移。13日につけた93.88円から5%近い豪ドル高水準だ。19日にオーストラリアの労働市場の強さが確認され、オーストラリア準備銀行(RBA)が年内に利下げに踏み切る見通しが後退したことが要因。RBAの24日までの理事会では、声明文などで示される今後の金融政策の方向性が焦点となりそうだ。また豪ドル円相場では、日本銀行の植田和男総裁の20日の記者会見後、日銀の追加利上げに対する期待が遠のいたことも豪ドル高要因として働いている。ただ、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ方向に舵を切っている中で、ドル円相場が再び円高方向に動きだせば、豪ドル円相場での豪ドル安要因になる可能性もある。

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豪ドル円相場は98.37円に 1週間で4.9%の豪ドル高 

豪ドル円相場(AUD/JPY)は23日の東京市場では一時、1豪ドル=98.44円をつけた。豪ドル円相場は9月2日に一時、99.83円をつけた後、オーストラリアの経常収支の悪化などをうけて豪ドル安が進行。同時にFRBの大幅利下げ見通しの強まりで円が買われやすくなり、豪ドル円相場は1週間前の16日には93.88円の安値をつけていた。23日の水準は、ここから4.9%ほどの豪ドル高水準だといえる。

豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事の推移のグラフ

豪ドル円相場が豪ドル高に転じた背景にはオーストラリアの労働市場の強さがある。オーストラリア統計局が19日に発表した8月雇用統計では就業者数が前月比4万7500人増となり、ロイターがまとめた市場予想の2万5000人増を上回った。19日のFX市場では豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)が0.75%も豪ドル高に振れている。

円、ポンド、豪ドル、ユーロの対ドル相場の推移のグラフ

オーストラリア中銀の利下げ見通しは後退 年内確率55%

こうした中、オーストラリアの中央銀行にあたるRBAが利下げに踏み切るとの見通しは後退している。LSEGのデータによると、RBAが23、24日の理事会で利下げすることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間23日午前11時段階でわずか5%。11月と12月の理事会も含めた年内の利下げについての確率は55%程度となっている。年内利下げの確率は4日には74%に達していた。

このためRBAが24日午後2時30分(日本時間24日午後1時30分)に発表する理事会の結果では、声明文やミシェル・ブロック総裁の記者会見で示される今後の金融政策の方向性が焦点になりそうだ。オーストラリア経済をめぐっては労働市場の強さという物価上昇圧力があるものの、経常収支の悪化や中国経済の減速といった不安要素もある。利下げと利上げの両方をにらむ姿勢をとってきたRBAの軸足が利下げ方向にシフトすれば、豪ドル円相場で豪ドル安の見通しが強まる可能性もある。

日銀の利上げ見通しの後退も豪ドル高の要因に

また、足元の豪ドル高の背景には、日銀の追加利上げ見通しが弱まったこともある。植田総裁は20日の金融政策決定会合後の記者会見で、利上げの必要性を判断するための「時間的な余裕がある」と言及。金融市場では利上げに距離をとったとの見方が広がり、ドル円相場(USD/JPY)は1ドル=144.39円まで円安が進んだ。こうした円安は豪ドル円相場での豪ドル高要因として働いている。

ただ、FRBは18日に0.5%の利下げを決め、今後も追加利下げを行う方向性を示した。このため、今後のドル円相場の見通しが円高方向に戻ることも考えられる。米国経済の堅調さが続けば、日銀が再び追加利上げへの意識を強める可能性もあり、豪ドル円相場での豪ドル安材料となる可能性もありそうだ。


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