豪ドル高一時進行 オーストラリア利上げ見通し再燃 物価上昇加速
オーストラリアの4月CPIの伸び率は前月から加速。豪ドルは一時、104円台後半をつけた。ただしその後は104円台前半の取引に戻っている。
オーストラリアが利上げに向かうとの見通しが金融市場で強まった。29日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を上回り、オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)が経済活動を冷やす必要性が高まったためだ。金融市場で見込まれるRBAが8月理事会までに利上げを行う確率は12%程度まで上がっている。一方、豪ドル円相場は4月CPI発表直後に1豪ドル=104円台後半まで豪ドル高が進んだが、その後は発表前の水準まで戻っている。アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)の上昇もあって、豪ドル買いの流れは強まっていないようだ。
オーストラリアの4月の物価上昇率は3.6%まで上昇
オーストラリアの4月CPIは総合指数の伸び率が前年同月比3.6%となり、ロイターがまとめた事前予想の3.4%を上回った。また3月の3.5%からも伸びが加速しており、物価上昇の根強さを感じさせた。また果物、野菜、ガソリン、休暇旅行を差し引いた指数の伸び率は4.1%で3月と同じ数字だった。
こうした物価上昇の加速は物価上昇率の目標を2-3%と定めているRBAにとっては厳しい内容だ。RBAは11月理事会までに政策金利を4.35%まで引き上げ、その後は4会合連続で政策金利を維持しているが、今後は利上げでの対応を迫られる可能性も拭えない。
8月利上げ見通しが強まり、豪ドル高が一時進行
LSEGのデータによると、RBAが8月理事会までに利上げを行うことについて投資家の動向から算出される確率は日本時間29日午後2時段階で約12%。前日の1.6%程度から大きく高まった。この確率は5月上旬には39%程度まで高まる局面もあっただけに、RBAの利上げ見通しの再燃が意識されているようだ。
こうした中、豪ドル円相場(AUD/JPY)では4月CPI発表直後に豪ドル高が進行。一時、1豪ドル=104.83円を付ける場面があった。前日のニューヨーク市場の終値との比較では0.32円の豪ドル高水準だ。ただしその後は104円台前半での取引に戻っており、積極的に豪ドルを買い進める動きにはつながっていない。
今後も物価上昇が進めば、利上げ見通しもさらに強まる
豪ドル高が進んでいない背景には米国の長期金利が高くなる見通しが強まっている事情がありそうだ。28日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.542%まで上がり、およそ3週間ぶりの4.5%台となった。29日のFX市場ではユーロやポンドが対ドルで売られるといったドル高圧力が感じられ、4月CPI発表後の豪ドル高圧力を打ち消しているようだ。
RBAのミシェル・ブロック総裁は7日の理事会後の記者会見で、現在の政策金利の水準は「引き締め的だ」との立場を強調した。5月以降もオーストラリアの物価上昇の根強さが示され、RBAが重視する四半期ベースでの物価上昇率が今後、加速する見通しとなれば、RBAの利上げ観測はさらに強まっていく可能性がある。
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