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オーストラリア中銀は利上げ再停止へ 豪ドル安要因 物価再減速評価

RBAは5日の理事会で利上げを見送りそうだ。豪ドル安要因だが、最近は米国の金利低下が豪ドル高材料になっている。

出所:ブルームバーグ

オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)は5日の理事会での政策金利据え置きが確実視されている。予想通りであれば2会合ぶりの利上げ見送り。11月29日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇の再減速が確認されたためで、RBAはこれまでの利上げが物価上昇を抑制する効果を見極める方針だとみられている。RBAが理事会後に発表する声明で、利上げ打ち止めの方向性に変化がみられなければ、豪ドル円相場では円高豪ドル安が進む展開が想定されそうだ。

豪中銀は5日理事会で利上げ見送りが確実視

RBAは5日午後2時30分(日本時間5日午前12時30分)に理事会の結果を発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、30人中28人が政策金利の据え置きが決まると予想。0.25%の利上げ予想は2人に留まっている。またLSEGのデータによると、5日の理事会での利上げ見送りについて投資家の動向から算出される確率は日本時間4日午前11時50分時点で約95%。やはり0.25%利上げの確率(約5%)を大きく上回っている。

RBAの利上げ見送りが確実視されるのは再燃していた物価上昇加速が改めて落ち着いたからだ。オーストラリアの10月のCPI上昇率は、総合指数が前年同月比4.9%で、9月の5.6%から大幅に減速。果物、野菜、ガソリン、休暇旅行の料金を差し引いたコア指数では5.1%となり、こちらも9月(5.5%)から低下した。物価上昇率の低下は総合指数が3か月ぶり、コア指数が2か月ぶりだ。

オーストラリアの消費者物価指数(CPI、総合、コア)の伸び率の推移のグラフ(月次、四半期)

RBAは10月まで4会合連続で政策金利を据え置いた後、8、9月の物価上昇加速傾向をみて11月に5会合ぶりの利上げに踏み切っていた。しかし物価上昇率が低下した今回のCPIの結果はRBAにとって好材料。2022年5月以降の利上げサイクルで4.35%まで引き上げてきた政策金利が経済を冷やす効果を時間をかけて見極めるだけの余裕があるとみられている。

こうした中、5日の理事会での焦点は今後の見通しがどのように示されるかだ。RBAは11月の理事会で利上げを決めたものの、声明では今後の金融政策について説明する文言を修正。次の金融政策の変更が必ずしも利上げではないとの可能性をにじませ、その後、豪ドル円相場(AUD/JPY)は円高豪ドル安方向に進んだ。今回の12月理事会後の声明でもRBAが利上げ打ち止めの方向性を維持すれば、豪ドル円相場ではやはり円高豪ドル安が進む要因となりそうだ。

アメリカの長期金利低下が豪ドル高の要因に

一方、豪ドル円相場では11月中旬以降、アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)の低下をきっかけに豪ドル高が進みやすくなっている。米長期金利低下を材料として豪ドルがドルに対して買われる度合いが、円がドルに対して買われる度合いよりも大きくなっているためだ。LSEGのデータによると、豪ドル円相場は11月15日には一時、1豪ドル=98.57円をつけ、2014年12月11日(98.77円)以来8年11か月ぶりの豪ドル高水準を記録した。

豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事

このため米国の長期金利低下が今後も続けば、豪ドルがいっそう買われやすくなる可能性もある。8日に発表される米国の11月の雇用統計などの結果が豪ドル円相場を動かす局面も考えられそうだ。


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