豪ドル、歴史的高値へ 33年ぶり108円台視野 物価上昇加速で
豪ドル円相場は16年8か月ぶりの豪ドル高水準。5月CPIがオーストラリア中銀の利上げ見通しを強めた。
豪ドル円相場が歴史的な高値に迫っている。7月1日の取引では1豪ドル=107.46をつけ、2007年11月以来の高さ。このまま豪ドル高が進んでいけば、1991年を最後にみられなかった108円台も視野に入る水準だ。6月26日に発表されたオーストラリアの5月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が予想を上回り、オーストラリア準備銀行(RBA)による8月利上げ見通しが急速に高まったことが背景にある。RBAが利上げすれば、利下げを見据えている他の主要中銀とは逆行する動きといえ、豪ドルの対円レートは他通貨と比べても強さが目立っている。
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豪ドル円相場で豪ドル高進行 1991年以来の108円台も
LSEGによると、豪ドル円相場は1日の東京市場で107円台前半で推移。高値の1豪ドル=107.44円は6月28日につけた107.42円を上回り、2007年11月1日の高値(107.79円)以来16年8か月ぶりの豪ドル高水準を更新した。このまま豪ドル高が進み、2007年10月31日につけた107.82円を超えれば、次の節目は1991年5月21日につけた108.15円ということになる。
このまま豪ドル高が進み、2007年10月31日につけた107.82円を超えれば、次の節目は1991年5月21日につけた108.15円ということになる。
豪ドル円相場が歴史的な高値に向かっている要因は、オーストラリアの物価上昇の根強さが確認されたことだ。5月CPIの伸び率は総合指数が前年同月比4.0%で、3月の3.6%から上昇。11月の4.3%以来、半年ぶりの高い伸びとなった。市場予想の3.8%も大きく上回るサプライズで、CPIが発表された26日のFX市場では豪ドルが買われ、豪ドル円相場では0.74%の豪ドル高が進んだ。一方、5月CPIは果物、野菜、ガソリン、休暇旅行の料金を差し引いたベースでは、伸び率が4.0%となり、前月(4.1%)から低下している。
オーストラリア中銀の8月利上げ見通しが拡大
こうした物価上昇の加速はオーストラリアの中央銀行にあたるRBAが6会合ぶりの利上げに向かうとの見通しを強めている。LSEGのデータによると、RBAが8月の理事会で利上げすることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間1日午前11時の段階で約65%。5月CPI発表前の9%程度から、大きく利上げ観測が拡大した形だ。
RBAが利上げすれば、主要中銀の中では異質な動きといえる。欧州中央銀行(ECB)は6月6日の理事会で0.25%の利下げを決定。イギリスでも5月CPIの総合指数の伸び率が前年同月比2.0%まで下がり、金融市場ではイングランド銀行(BOE)が8月理事会で利下げするとの見通しが強まっている。また、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)も利上げは基本シナリオではないとしており、年内1度の利下げの方向性を示している。
このため豪ドルの対円レートは、他通貨の対円レートと比べても強さが目立つ。直近4週間の対円レートを比較すると、豪ドルは円に対して4%以上強くなったのに対して、ユーロやポンドは2%台の上昇。ドルも3.9%程度の上昇となっており、豪ドルの強さは明らかだ。
RBAは利上げと利下げに中立 4-6月期CPIが焦点に
一方、RBAは四半期ベースでの物価上昇率を重視する立場をとっており、RBAが実際に8月に利上げに踏み切るかには不透明感も残る。ロイターによると、RBAのアンドリュー・ハウザー副総裁は27日の経済イベントで、「ひとつの数字に基づいて金融政策を決定することはひどい間違いになるだろう」と述べ、5月CPIのデータだけで金融政策が左右されるわけではないと強調した。RBAは6月18日の理事会の声明文で、利上げと利下げの両方を排除しないとの立場をとっている。
RBAの8月理事会をめぐる見通しは、6月と4-6月期のCPIが発表される7月31日までは大きく揺れ動く可能性がある。オーストラリアでの物価上昇圧力の強まりを感じさせるデータが出れば、豪ドル円相場が108円台に向けて上昇する筋書きも考えられそうだ。
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