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豪ドル安進行、7か月ぶり水準に 一時92円台 トランプ関税懸念

豪ドル円は一時92円台を記録。米中対立がオーストラリアの輸出品である鉄鉱石価格の下落を招いていることが意識されている。

豪ドル安が7か月ぶり水準 一時92円台 トランプ関税懸念が火種 出所:Adobe Images

豪ドル円相場で豪ドル安が進んでいる。3日の東京市場の取引は1豪ドル=93円台で推移。2月28日には92円台をつける場面もあり、約7か月ぶりの豪ドル安水準となった。26日発表の1月の消費者物価指数(CPI)が弱かったことに加え、オーストラリアの輸出品である鉄鉱石が値下がりしていることも豪ドル安材料となっている。鉄鉱石価格の下落の背景にはアメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策があり、当面は不安定感が続きそうだ。一方、オーストラリア準備銀行(RBA)の追加利下げへの慎重姿勢は豪ドル高要因。豪ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、オーストラリア経済の強さを示す経済指標が豪ドル高を招く展開も考えられる。

豪ドル円相場は一時、92.73円 8月5日以来の豪ドル安水準

豪ドル円相場(AUD/JPY)は2月28日に一時、1豪ドル=92.73円をつけた。ブルームバーグによると、2024年8月5日につけた90.15円以来の豪ドル安水準だ。8月5日は米国の7月雇用統計の弱さをきっかけとして急激な円高が進み、日経平均株価(N225)が前週末比4451円安となった特異なタイミング。これを除けば、豪ドル円の92円台は2023年8月までさかのぼる。

豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

オーストラリアの1月CPIの弱さが豪ドル安を後押し

豪ドル円相場は1月下旬までは98円前後での値動きが続いていたが、24日に日本銀行が利上げを決めたことや2月18日にRBAが4年3か月ぶりの利下げを決めたことが豪ドル安材料となってきた。26日に発表された1月CPIで総合指数の伸び率が前年同月比2.5%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.6%を下回ったことも豪ドル安を後押ししている。

オーストラリアの消費者物価指数(CPI)の伸び率の推移のグラフ

鉄鉱石価格の下落も豪ドル安の要因 トランプ氏の高関税は中国経済に逆風か

さらに足元では鉄鉱石価格の下落も豪ドル安要因と位置付けられている。ブルームバーグによると、中国の大連商品取引所の鉄鉱石先物価格は2月21日をピークとして、足元までに4%超下落。この間、豪ドルの対ドルレート(AUD/USD)は2%超下落した。鉄鉱石はオーストラリア最大の輸出品で、価格の下落はオーストラリア経済の成長鈍化を連想させる要素だ。

豪ドル、円、ユーロ、ポンドの対ドルレートの推移のグラフ

こうした鉄鉱石価格下落の背景には米中対立がある。トランプ氏は24日にメキシコとカナダに対する高関税発動を計画通りに進めると言及。その後、27日には、中国に対しては2月4日に発動した10%の追加関税に加え、さらに10%の関税を課すと表明している。米中対立が中国経済の逆風となれば、中国の鉄鉱石輸入が抑制されることも想定され、鉄鉱石価格には下落圧力がかかりやすくなる。

RBAは利下げに慎重 経済指標が上振れなら豪ドル高の見通しも

一方、RBAはオーストラリア経済について物価上昇圧力が高まることを警戒している。ミシェル・ブロック総裁は4年3か月ぶりの利下げを決めた2月17、18日の理事会後の記者会見で、追加利下げについて慎重姿勢を示した。また、就業者数といった労働市場関連の指標にも強さがみられ、豪ドル高要因といえる。

豪ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、オーストラリア経済に関するイベントが注目される。4日には経常収支や小売売上高、さらにRBAの2月理事会の議事要旨も公表される予定。また、5日には10-12月期GDPの発表も控えている。これらのイベントがオーストラリア経済の強さを感じさせた場合には、豪ドル円相場が豪ドル高に振れる展開も考えられそうだ。


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