米国株、エヌビディア決算を警戒 S&P500転落 トランプ関税も不安
S&P500は3日続落。米国のメキシコ、カナダへの高関税やエヌビディア決算への警戒が要因となった。当面は投資家心理の重さが続く可能性がある。

アメリカの株式市場が株価の見通しを警戒している。S&P500の24日の終値は前週末比0.50%安で、3営業日続落。ドナルド・トランプ大統領がメキシコとカナダからの輸入品への高関税に言及したことが下押し圧力として働いた。また、大手ハイテク株や半導体株も軒並み値下がりしており、26日に予定されている半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の四半期決算発表への警戒感も感じられる。一方、24日の終値は19日につけた最高値から2%以上安い水準で、短期的な反発の余地も生じた。ただ、エヌビディア決算の後には米国経済の真価を問う経済指標の発表が続くだけに、S&P500の今後の見通しをめぐっては投資家の警戒感が重荷となる展開も考えられそうだ。
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アメリカのS&P500は3日続落で6000割れ 3週間ぶり
S&P500(SPX)の24日の終値は5983.25で、3日(5994.57)以来、3週間ぶりの6000割れとなった。3営業日続落は1月2日までの5営業日続落以来の悪い記録だ。また、トランプ氏の就任直前にあたる1月17日の水準(5996.66)も下回っており、見通しに対する楽観ムードは損なわれている。

トランプ氏はメキシコとカナダへの高関税に言及 「予定通り」
24日のS&P500はトランプ関税への懸念が悪材料となった。トランプ氏はフランスのエマニュエル・マクロン大統領とのホワイトハウスでの共同記者会見で、メキシコとカナダに対する高関税について「スケジュール通りに進んでいく」と述べた。トランプ氏は1日に両国からの輸入品に対する25%関税を4日に発動させることを決めた後、発動前日の3日に1か月の発動猶予を決めていた。
こうした中、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は上昇。シカゴ・オプション取引所によると、24日の終値は前日比4.23%上昇の18.98で、1月13日(19.19)以来の高水準となった。

エヌビディアの株価は3.09%安 26日の決算発表への警戒感も
24日の取引では26日の取引時間終了後に行われるエヌビディアの2024年11月-2025年1月期決算発表が人工知能(AI)ブームへの期待を縮小させることへの警戒も感じられた。エヌビディアの株価(NVDA)の24日の終値は前週末比3.09%安の130.28ドル。21日の4.05%安に続く大きな値下がりとなった。SNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)は2.26%安で5営業日続落となり、14日までの20営業日続伸の勢いが失われている。電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)は3営業日続落の2.15%安、アマゾン・コム(AMZN)は6営業日続落の1.79%安となっており、やはり見通しは悪い。


S&P500の見通しには上昇の余地も 割高感は依然として重荷
一方、S&P500の24日の終値は19日につけた最高値(6144.15)からは2.62%安の水準。短期的には値上がりの余地が生じたともいえそうだ。26日のエヌビディア決算発表でAIブームの見通しが悪くならなければ、改めてS&P500が上昇に転じる可能性もある。
ただ、S&P500が最高値から後退したとはいえ、割高感が消えたわけではない。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は24日時点で23.1倍程度。2020年以降の平均値(20.7倍程度)を大きく上回ったままで、S&P500の見通しを悪くする材料といえそうだ。

米国経済の見通し不安も続く GDP改定値など重要経済指標の発表目白押し
さらにS&P500の今後の見通しにとっては、米国経済の先行き不透明感も重荷となり続ける。27日に発表される2024年10-12月期GDPの改定値で個人消費が下方修正されるなどの悪材料が出れば、S&P500が下落で反応するおそれもぬぐえない。14日発表の1月の小売売上高や21日の中古住宅販売件数は市場予想を下回り、株価を下押ししていた。GDP改定値と同じ27日に発表される週次の失業保険関連統計や、翌28日発表の1月の個人消費支出(PCE)物価指数も労働市場と物価上昇の先行きを判断するための重要指標といえ、投資家心理が晴れるまでに時間がかかる筋書きも考えられる。
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