米国株、2か月ぶり急落 S&P500週次下落 エヌビディア見通し不安
S&P500は21日に1.71%安となり、週次でも2週ぶりの下落。米国経済への不安が要因だ。消費や物価をめぐる不安が強まれば下落が進むおそれがある。

アメリカの株式市場が急落した。S&P500種株価指数の21日の終値は2週ぶりの週次下落。21日の取引が前日比1.71%安という2か月ぶりの大幅安となったことが響いた。中古住宅関連の経済指標などが米国経済の先行き不安を高めたことが要因だ。四半期決算発表を控えている半導体大手NVIDIA(エヌビディア)も3週ぶりの下落となり、株式市場の見通しに暗雲が立ち込めている。一方、米国経済の見通し不安が高まったとはいえ、労働市場の悪化にまでつながっているわけではなく、24日以降のS&P500が反発に転じる可能性もある。ただしS&P500の割高感が強まる中で、消費や物価などをめぐる悪いデータがさらに続けば、S&P500の今後の見通しが大きく下押しされるおそれも拭えない。
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アメリカのS&P500は21日に1.71%安の急落 週次で2週ぶり下落
S&P500(SPX)の21日の終値は1週間前比で1.66%安の6013.13。週次での下落は2週ぶりで、下落率は2024年12月雇用統計の好調さが悪材料視された1月6-10日週(1.94%安)以来の大きさだった。S&P500が週次で値下がりした要因は21日の急落。前日比1.71%安という下落率は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2025年の利下げ回数の見通しを引き下げた2024年12月18日(2.95%安)以来だ。

中古住宅販売件数やサービス業の景況感が悪化 米国経済の見通しに不安
21日のS&P500は複数の悪い経済指標に下押しされた。全米リアルター協会(NAR)が発表した1月の中古住宅販売件数は年換算で408万件の水準となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の413万件を下回った。前月比では4.9%減となり、2022年11月以来、2年2か月ぶりの悪さとなる。また、S&Pグローバルが発表した2月のサービス業の景況感指数(PMI)は49.7で、2年1か月ぶりに「不況」とされる水準になった。

米国経済をめぐっては14日発表の1月小売売上高も市場予想を大きく下回る結果。また20日には流通大手のウォルマートの決算発表で示された業績見通しが市場予想を下回っている。ドナルド・トランプ大統領が打ち出している高関税政策などが消費者心理を悪化させている可能性もありそうだ。
エヌビディアは週次3.18%安 決算発表への期待高まらず 半導体株不調
こうした中、2023年以降のS&P500の上昇を引っ張ってきたエヌビディアの株価(NVDA)は21日に前日比4.05%安。週次でも3.18%安となり、3週ぶりの値下がりとなった。26日の2024年11月-2025年1月期決算発表を控える中でも、投資家の期待は高まっていないようだ。大手ハイテク株では14日まで異例の20連騰を記録してきたメタ・プラットフォームズ(META)も、21日まで4日続落となり様相が一変。アマゾン・コム(AMZN)も5日続落で、見通しが悪化している。


投資家心理の悪化はウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きにも表れた。シカゴ・オプション取引所によると、VIXの21日の終値は前日比16.28%高の18.21。3日(18.62)以来の高さとなった。

長期金利の低下はS&P500を下支えか 労働市場の堅調さも続く
一方、S&P500の今後の見通しをめぐっては、長期金利の低下が投資家心理を下支えする可能性もある。ブルームバーグによると21日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.428%で、5日(4.419%)以来の低さとなった。また、トランプ氏の政権運営をめぐる不透明感が消費を下押ししていたとしても、労働市場の悪化にまでつながっているわけではない。20日に発表された9-15日週の新規失業保険申請件数は21.9万件。ブルームバーグがまとめた市場予想(21.5万件)を上回ったとはいえ、目立った上昇とはいえない水準だ。このため24日以降のS&P500が反発することも考えられる。

S&P500の割高感は重荷 GDP改定値やPCE物価指数で見通し悪化も
ただ、最高値付近での値動きが続いてきたS&P500の割高感は否めず、見通しが明るいとはいえない。S&P500が2日連続で最高値を更新した19日には、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は4年ぶりの高水準に接近していた。
こうした中で、米国経済の見通しの不透明感が強まれば、S&P500には強い下押し圧力がかかる可能性がある。26日のエヌビディアの決算発表や、27日の2024年10-12月期GDPの改定値、28日の1月の個人消費支出(PCE)物価指数などで、企業業績や消費の悪化、物価上昇の根強さといった材料が意識されれば、S&P500に波乱が起きる展開も想定されそうだ。
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