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米国株、さらなる激震も S&P500週次続落 エヌビディア反発に弱さ

S&P500は週次0.98%安。エヌビディアも決算後の急落を戻しきれていない。今後もトランプ氏の高関税政策や注目経済指標が波乱を呼ぶ可能性がある。

米国株、さらなる激震も S&P500週次続落 エヌビディア反発に弱さ 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場が大きく揺れた。2月28日のS&P500種株価指数の終値は1週間前比0.98%安。28日の取引では、前日の半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の決算発表を受けた急落を取り戻したものの、2週連続での週次下落に終わった。またエヌビディア自身の株価は前日の急落分の半分に満たない反発で、見通しに不安が残っている。一方、28日に発表された物価指標は米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待を強める内容。しかし週明け3月3日以降の株式市場では、ドナルド・トランプ大統領による高関税政策が波乱要因になりえるほか、2月雇用統計をはじめとする注目経済指標の発表も続く。S&P500の今後の見通しをめぐっては、さらなる激震が起こることも想定されそうだ。

アメリカのS&P500は週次0.98%安 2週連続での値下がり

S&P500(SPX)の2月28日の終値は前日比では1.59%高にあたる5954.50。エヌビディアの2024年11月-2025年1月期決算発表が期待外れだったことを受けた27日の1.59%安を取り戻した。ただ、週次ではマイナス圏から抜け出せず、中古住宅販売件数の悪化などが米国経済の見通し不安を強めた前週(17-21日)の1.66%安に続く下落となった。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアの株価は週次7.07%安 急成長継続への期待は後退

また、S&P500の波乱の震源地となったエヌビディアの株価(NVDA)の28日の終値は前日比3.97%高。前日の8.48%安の4割程度を取り戻すにとどまった。週次では7.07%安という不振で、2週連続での下落に終わっている。人工知能(AI)ブームの原動力となってきたエヌビディアが今後も急成長を続けるとの見通しは後退し、株式市場ではエヌビディア以外の半導体株も下落。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)は週次9.91%安、ブロードコム(AVGO)は週次8.79%安だった。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)も週次9.08%安となっている。

エヌビディア、ブロードコム、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

大手ハイテク株の見通しも悪化 テスラは欧州販売不振で週次13.27%安

AIブーム継続への期待の縮小は、巨額のAI関連投資を続けてきた大手ハイテク株の見通しも悪くした。アルファベットの株価(GOOGL)は週次5.22%安で4週続落。マイクロソフト(MSFT)は週次2.75%安で、5週続落となっている。また電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)は欧州での1月の販売が急減し、6週続落の週次13.27%安だった。欧州自動車工業会(ACEA)は25日、1月のテスラの販売台数が9945台で、前年同月比45.2%減だったと発表している。

エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、テスラ、アップル、アルファベット、マイクロソフトの株価の推移のグラフ

こうした中、投資家のS&P500の急変に対する警戒感は強い。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の28日の終値は19.63という高水準。S&P500の28日の終値はトランプ政権発足直前の水準(5996.66)を下回ったままで、見通しに対する緊張が感じられる。

VIXとS&P500の推移のグラフ

1月のPCE物価指数はFRBの利下げ見通しを強める内容 S&P500に安心感

一方、28日に発表された1月の個人消費支出(PCE)物価指数は、株式市場にとって前向きな結果だった。総合指数の伸び率は前年同月比2.5%で、前月(12月)の2.6%から低下。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.6%で、やはり前月(2.9%)から物価上昇が減速した。いずれもブルームバーグがまとめた市場予想通りの結果で、金融市場ではFRBの利下げへの期待が強まっている。CMEグループのデータによると、FRBの年内利下げが2回以上になることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間3月1日午前11時段階で80%程度。前日の76%から上昇しており、28日のS&P500を下支えしたようだ。

アメリカのPCE物価指数の伸び率の推移のグラフ

トランプ氏の高関税は4日発動も 雇用統計など注目指標も見通しの波乱要因

ただしS&P500の今後の見通しをめぐっては、トランプ氏の高関税政策が波乱を起こす可能性がある。トランプ氏は2月27日、SNSへの投稿でメキシコとカナダからの輸入品への25%関税を3月4日に発動する意向を表明。中国に対しても、追加でさらに10%の関税を課すとしている。

トランプ氏の高関税政策をめぐっては、事態が複雑化する可能性もありそうだ。スコット・ベッセント財務長官は2月28日、ブルームバーグテレビでのインタビューで、メキシコ政府が米国との関税協議の中で、米国と同様に中国からの輸入品に高関税をかける提案をしたと言及。「カナダも同じことをすれば良い振る舞いになる。中国からの洪水のような輸入に対する『北米の砦』を築くことができる」とした。中国の強い反発も想定される内容といえ、投資家の不安の高まりがS&P500の見通しに下押し圧力をかける可能性も考えられる。

また、3月3日以降には投資家の注目度が高い経済指標の発表も相次ぐ。米サプライマネジメント協会(ISM)は3日、2月の製造業景況感指数(PMI)を発表。5日には非製造業(サービス業)PMIを発表する。さらに6日の週次の失業保険関連統計や7日の2月雇用統計で米国の労働市場悪化が示されれば、S&P500が大きく下落することもありえそうだ。


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