豪ドル上昇圧力高まるか 1月CPI加速見通し RBA追加利下げに慎重
オーストラリアの1月CPIは物価上昇が加速する豪ドル高圧力になる見通し。ただし円高基調の強さもあり、豪ドル円相場への影響は限定的か。
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豪ドルに上昇圧力がかかる可能性が出てきた。オーストラリア統計局が26日に発表する1月の消費者物価指数(CPI)は前月から物価上昇が加速する見通し。オーストラリア準備銀行(RBA)は18日に4年3か月ぶりの利下げを決めつつも、物価動向への警戒を強調しており、1月CPIは追加利下げの難しさを印象づけそうだ。ただ、FX市場では日本銀行の追加利上げ観測が根強く、円が買われやすい状況も続く。このため豪ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、オーストラリアの1月CPIが物価上昇圧力の強さを示したとしても、豪ドル高進行が限定的になることも考えられる。
オーストラリアの1月CPIは伸び率が2.6%に加速する見通し
オーストラリア統計局は26日午前11時30分(日本時間26日午前9時30分)に1月CPIを発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.6%となり、前月(2024年12月)の2.5%から物価上昇が加速する見通し。オーストラリアの物価上昇率は2024年7月から段階的に導入されてきた電気料金などに関わる補助金の影響で抑えられてきたが、2025年1月CPIでは改めて物価上昇が意識されそうだ。
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オーストラリア準備銀行は4年3か月ぶりの利下げ 物価動向への警戒も
物価上昇への警戒はオーストラリアの中央銀行にあたるRBAも怠っていない。RBAは17、18日の理事会で政策金利を4.10%とし、2020年11月4日以来、4年3か月ぶりの利下げを決定。同時に声明文では物価上昇鎮静化に関連して「先行きには警戒している」とした。ミシェル・ブロック総裁は18日の記者会見で「今後の金利の道筋を決めるには、物価上昇率が下がり続けることを示すデータや証拠がさらに必要だ」と述べ、追加利下げに慎重姿勢を示している。
こうした中、1月CPIが物価上昇の根強さを示せば、豪ドル高材料とみなされそうだ。ブルームバーグによると、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は18日、RBAが4年3か月ぶりの利下げを決めたにも関わらず、前月比0.05%の豪ドル安という小幅な値動きに終わった。さらに、1月の雇用関連統計が発表され、就業者が市場予想よりも強い前月比4.4万人増だった20日には、豪ドルの対ドル相場は0.88%の豪ドル高に振れている。
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ただしFX市場では円の強さも際立っている。1月の就業者数が豪ドルの対ドルレートでの上昇につながった20日は、円の対ドルレートも1.22%高という豪ドルを上回る強さを示した。結果として20日の豪ドル円相場(AUD/JPY)は0.34%の豪ドル安となった。また、翌21日のFX市場では豪ドルが売り戻されたのに対して、円はさらに買われ、豪ドル円相場は0.92%の豪ドル安となった。21日の終値は1豪ドル=94.90円で、終値として2024年9月13日(94.42円)以来の豪ドル安水準だ。
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日銀の利上げ観測は円高要因 豪ドル円相場での豪ドル高は限定的か
ドル円相場(USD/JPY)は24日には一時、1ドル=148.85円をつけた。ブルームバーグによると、2024年12月3日につけた148.65円以来の円高水準だ。背景には日銀が秋までには追加利上げに踏み切るとの観測があり、RBAが慎重ながらも利下げを決めた状況とは対照的だ。ブルームバーグのデータでは、金融市場ではRBAは2025年中にあと2回以上の利下げを決断するとの見通しになっている。
このためオーストラリアの1月CPIが強さを感じさせて豪ドル高要因となったとしても、豪ドル円相場は大きく変化しない可能性もある。豪ドル円相場の今後の見通しは、豪ドル高の流れと円高の流れのどちらが強くなるかに左右されるとも考えられそうだ。
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