豪ドルの上昇加速 109円台迫る オーストラリアの利上げ予想は後退
豪ドル円は108円台に突入し、33年ぶりの豪ドル高。RBAの利上げ見通しは後退したが、FRBの利下げ観測が豪ドルを買われやすくした。
豪ドルの上昇が止まらない。豪ドル円相場の5日の終値は1豪ドル=108.45円で、約33年ぶりの豪ドル高水準。109円台や、その先の110円台まで突入する事態も現実味を帯びてきた。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しが強まっていることで、豪ドルの対ドル相場が上昇していることが要因だ。一方、オーストラリア準備銀行(RBA)が利上げに向かうとの観測は落ち着きをみせている。ただし、オーストラリア経済の過熱を感じさせる経済指標もみられており、豪ドル高圧力がしばらく続く可能性がある。
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豪ドル円相場は33年ぶりの108円台に突入
豪ドル円相場(AUD/JPY)は8日の東京市場でも1豪ドル=108円台前半で推移している。豪ドル円相場は3日に108円台まで上昇。5日には108.58円をつける場面もあった。LSEGのデータによると、5日のニューヨーク市場の終値は、1991年5月13日の108.87円以来の豪ドル高水準だ。当時は1990年8月24日につけた1豪ドル=122.71円をピークとした長期な円高豪ドル安が進行する局面だった。
豪ドル高の背景にはFRBの利下げ見通しの後退も
豪ドルが買われる要因となったのは米国経済の見通しの悪化だ。米国で3日に発表された米サプライマネジメント協会(ISM)の6月の非製造業(サービス業)景況感指数は前月よりも5ポイント低い48.8となった。また、5日に発表された6月雇用統計では失業率が4.1%まで上がり、2年7か月ぶりの高さになっている。CMEグループのデータによると、FRBが9月の連邦公開市場委員会(FOMC)までに利下げすることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間8日正午すぎで約71%。1週間前の55%程度と比べて、利下げ見通しが強まっている形だ。
一方、オーストラリアの中央銀行にあたるRBAをめぐっては、一時高まった、利上げ観測が落ち着きをみせている。LSEGのデータによると、RBAの8月利上げに関する確率は日本時間8日正午すぎ段階で26%程度。5月消費者物価指数(CPI)が予想を上回った後、65%程度まで上がる場面もあったが、過度な利上げ見通しは和らいでいるようだ。RBAが2日に公表した6月理事会の議事要旨では、「1-3月期のオーストラリア経済の成長は極めて弱かった」「賃金の上昇は2023年後半にピークをつけたようだ」といった経済の見通しについての弱気な言及も目立った。
オーストラリア経済の過熱感を示す経済指標も
ただ、オーストラリア経済をめぐっては、引き続き、過熱を感じさせるデータも出ている。オーストラリア統計局が3日に発表した5月の小売売上高の伸び率は前月比0.6%となり、ロイターがまとめた事前予想の0.2%を上回った。こうした中、RBAが利上げに向かうとの観測は簡単には消えなさそうだ。
豪ドルの対ドル相場はFRBが利上げを始めた2022年3月以前の水準と比べて、7%程度の豪ドル安水準にあり、上昇余地はまだ残されているともいえる。今後、ドル円相場が1ドル=160円程度で膠着すると同時に、FRBとRBAの金融政策の方向性の違いが意識されれば、豪ドル円相場での豪ドル高がさらに加速する可能性もありそうだ。
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