オーストラリア物価減速見通し 中銀利下げは困難? 足元は豪ドル高
オーストラリアで30日に発表されるCPIは物価上昇が減速する見通し。しかしRBAの利下げへの期待は高まらなさそうだ。
オーストラリア統計局が30日に発表する2024年7-9月期の消費者物価指数(CPI)は上昇率が大幅に低下するとみられている。とはいえ、政府による電気料金補助の影響が大きいとみられ、オーストラリア準備銀行(RBA)の利下げに対する期待を高めることはなさそうだ。こうした中、豪ドル円相場はこの1か月ほどは、ほぼ横ばいで推移してきた。一方、日本時間28日午前の取引では、27日の衆議院選挙の結果を受けた円安の影響で前週末比で1円程度の豪ドル高が進んでいる。豪ドル円相場の今後の見通しはドル円相場の行方に左右される度合いが大きくなりそうだ。
オーストラリアの7-9月CPIは上昇率が大きく低下する見通し
オーストラリア統計局は30日午前11時30分(日本時間30日午前9時30分)に7-9月期CPIを発表する。ロイターがまとめた予想によると、総合指数の前年同期比伸び率は2.9%となり、4-6月期の3.8%から大きく低下する見通し。また、9月単月のCPIの伸び率も前年同月比2.3%となり、8月の2.7%からの減速が見込まれている。オーストラリアの中央銀行にあたるRBAは物価上昇率の目標を2-3%としており、表面上は物価上昇の鎮静化を感じさせる結果だ。
物価上昇鎮静化には至らず RBAの年内利下げ見通しは後退
とはいえ、物価上昇の減速は電気料金に関わる補助金などの影響が大きく、RBAが物価上昇の根強さへの警戒を緩めることはなさそうだ。価格変動が大きかった品目を除いた刈り込み平均での物価上昇率は、8月の実績は3.4%で下がり切っているわけではない。RBAのミシェル・ブロック総裁は25日に発表した年次報告書の中で、2023年から2024年の物価上昇率は高止まりしており、目標範囲に持続的に収まるまでには「あと1、2年かかる」との見通しを示した。
このため金融市場ではRBAが利下げに踏み切るとの見通しは後退している。ブルームバーグのデータによると、RBAが11月5日の理事会で利下げすることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間28日午前11時30分段階で9.4%。12月理事会までの利下げ確率は24%となっている。12月までの利下げ確率は10月初めには70%を超えていただけに、豪ドル安は進みにくくなったといえる。
豪ドル円相場は横ばい 豪ドル安と円安が同時進行
ただ、この1か月ほどのFX市場ではアメリカ大統領選挙などでの共和党大勝見通しを背景にして米国金利の先高観が強まっていることの影響力が大きく、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は豪ドル安方向に動いてきた。同時に円もドルに対して下落しており、結果として豪ドル円相場(AUD/JPY)はほぼ横ばいの状態が続いている。25日のニューヨーク市場の終値は1豪ドル=100.54円で、石破茂首相が日本銀行の利上げを牽制した2日の終値(100.83円)とほぼ同じ水準だった。
衆議院選挙での与党大敗は円安要因に
一方、日本時間28日午前の取引では、豪ドル円相場は一時、1豪ドル=101.50円をつけ、25日終値から約1円の豪ドル高となった。27日の衆議院選挙での与党大敗が経済の見通しを不透明にし、日銀が利上げを決断しにくくなったとの見立てがドル円相場での円安を招いたことが影響した。豪ドル円相場の今後の見通しは、ドル円相場の先行きにかかっている側面も大きそうだ。
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