オーストラリア中銀、現状維持見通し 利上げも視野か? 豪ドル高も
オーストラリアの物価上昇は根強く、RBA理事会は利上げの可能性に言及するかが焦点。豪ドル高が進む可能性も。
オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)が7日に結果を発表する理事会は政策金利が据え置かれる見通しだ。ただしオーストラリアの物価上昇は想定以上の根強さをみせており、金融市場では次の政策変更は利上げになるとの見方も広がってきた。このため理事会をめぐっては、声明文などで利上げへの言及があるかどうかが焦点になる。豪ドル円相場が4月末に11年ぶりの豪ドル高水準をつける中、改めて豪ドル高圧力が強まる可能性もある。
オーストラリア中銀は政策金利を維持する見通し
RBAは6、7日の日程で理事会を開催。7日午後2時30分(日本時間7日午後1時30分)に結果を発表する。ロイターがまとめたエコノミスト調査では37人中36人が政策金利が維持されるとの見通しを示し、残る1人は利上げを予想している。また、LSEGのデータでは、投資家の動向から算出される政策金利維持の確率は日本時間6日午前11時の段階で88%となっている。RBAが政策金利を維持すれば4会合連続だ。
ただしオーストラリアの物価上昇は減速の勢いが鈍っている。消費者物価指数(CPI)は3月の総合指数の伸び率が前年同月比3.5%となり、2月の3.4%から加速。RBAが重視する四半期ベースのCPIも1-3月期は総合指数の伸び率が3.6%となり、市場予想の3.4%を上回った。
RBAが利上げの可能性を示唆すれば豪ドル高も
このため金融市場ではRBAが物価上昇の抑制を狙って、11月以来の利上げを視野にいれているとの観測も出てきた。LSEGのデータでは、6月理事会での利上げの確率が18%程度、8月理事会までの利上げの確率が39%程度見積もられている。7日までの理事会に際しては、声明文やミシェル・ブロック総裁の記者会見で、今後の利上げ見通しが高まるかどうかが注目点になりそうだ。RBAは前回3月の声明文では今後の金融政策の方向性について「決まっていることはなく、排除されていることもない」としていた。
こうした中、豪ドル円相場(AUD/JPY)では豪ドルが買われている。4月29日には一時、1豪ドル=103.62円をつけ、2013年4月15日(103.83円)以来の豪ドル高水準となった。4月24日に発表された3月CPIが豪ドル高のきっかけになったほか、日本銀行が金融政策の維持を決めた26日までの金融政策決定会合も円安材料とみなされ豪ドル高が進んだためだ。
その後は、29日と5月1日には日本政府のドル円相場(USD/JPY)での為替介入があったとみられ、相場の流れは円高に転じた。6日午前の東京市場では1豪ドル=101円台で推移している。仮にRBAが理事会後に利上げの見通しを示唆すれば、豪ドル高の流れが戻る可能性もありそうだ。RBAの利上げ見通しが強まらなかった場合でも、ドル円相場で円安の流れが復活すれば、豪ドル円相場での豪ドル高要因になるとみられる。
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