豪ドルの先行きへの影響は? 28日に5月CPI 伸び率低下予想
オーストラリアの5月CPIは伸び率低下の見通し。上振れれば豪ドル高要因だが、中国経済への不安が相場を見通しづらくしている。
28日に発表されるオーストラリアの5月の消費者物価指数(CPI)は4月から大幅に低下すると予想されている。中央銀行のオーストラリア準備銀行(RBA)は7月4日の政策金利決定に向けて物価動向を注視しており、5月のCPIが予想よりも上振れれば利上げを後押しすることになりそうだ。ただし豪ドル円相場の上昇は中国経済復活の勢いの乏しさもあって頭打ちになっており、投資家の間でどこまで豪ドル買いが強まるかは不透明な面もある。
オーストラリアの5月のCPIの伸び率は6.1%の予想
オーストラリア統計局は日本時間28日午前10時30分に5月のCPIを発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、総合指数の前年同月比伸び率は6.1%となる見通し。4月の6.8%からの大幅低下が見込まれている。
RBAは物価上昇率の高さへの警戒を改めて強めてきた。4月の理事会では11会合ぶりに利上げを見送ったが、5、6月は連続で利上げを実施。6月6日の理事会後の声明文でも2023年1-3月期の物価上昇率が前年同期比7.0%だったことについて「高すぎる」との見方を改めて強調している。このため5月の物価上昇率が予想通りに6.1%まで下がれば、RBAにとっては安心材料だとえる。
一方、物価上昇率が予想を超えれば、RBAは利上げの手を緩めるわけにはいかなくなりそうだ。物価上昇の根強さに対する警戒は欧米でも強い。米連邦準備制度理事会(FRB)は6月の利上げを見送ったものの、年内に2度の利上げをする方向性を強調。ユーロ圏の欧州中央銀行(ECB)や英国のイングランド銀行(BOE)も利上げの必要性を示している。
中国経済の先行きには不安も
ただしRBAはオーストラリア経済と結びつきが強い中国経済の行方にも目配りしている。中国政府は2022年11月以降、新型コロナウイルス感染拡大抑制策の大幅な緩和を行い、2023年1-3月期の成長率は堅調だった。しかし4、5月の経済指標は勢いに乏しく、中央銀行にあたる中国人民銀行は20日に政策金利を10か月ぶりに引き下げて消費の刺激を図っている。
こうした中、豪ドル円相場(チャート)にも変調の兆しが出ている。金融情報会社リフィニティブのデータによると、豪ドル円相場は人民銀行の利下げがあった20日、前日比1.26円の円高豪ドル安となった。利下げ幅が市場予想を下回ったことで、利下げにも関わらず投資家の中国経済への不安は強まったようだ。RBAも中国経済の回復が弱くなることへの懸念は豪ドル安の要因だと分析。豪ドル円相場は19日には2022年9月13日以来約9か月ぶりの高値水準となる1豪ドル=97.66円をつけていただけに、上昇が頭打ちになっている状態だといえる。
リフィニティブのデータでは、7月4日の理事会での0.25%利上げについて、投資家の動向から算出される確率は、6月27日午前11時段階で約33%。利上げ見送りの確率は67%と見込まれている。5月のCPIが市場予想より高くなった場合の豪ドル円相場の先行きは、中国経済の動向も踏まえ、どこまで利上げ観測が強まるかが影響しそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。