エネオスは増収と自社株買いで急伸、ソフトバンクGも上昇
石油精製で日本最大のエネオスの株価は増収と発行済み株式の4分の1近くにも上る自社株買いで上昇し、ソフトバンクグループへの好感は東京株式市場全体を押し上げた。この記事で取り上げる銘柄は、時価総額に基づいて選ばれています。
エネオスホールディングス(5020)の株価は14日、純利益の倍増と発行済み株式の4分の1近くにも上る自社株買い計画の発表で、10%以上上昇した。また、ソフトバンクグループ(9984)の損失縮小や人工知能(AI)に関する強気の展望が、東京株式市場全体を押し上げた。
エネオスが10.76%上昇
日本最大の石油精製会社であるエネオスは14日に2024年3月期の決算を発表した。売上高は前年比7.7%減だったものの、純利益は2倍の2881.2億円に達した。さらに同日、発行済み株式の22.68%にあたる6億8000万株を自己取得することも発表した。
これを受け、同社の株価は10.76%上昇し、790円80銭で取引を終えた。
ソフトバンクグループ決算が日経平均を押し上げ
ソフトバンクグループは、損失の縮小やAIブームへの楽観視から株価が上昇し、4.34%高の8,347円で14日の取引を終えた。同グループの株価上昇は、日経平均株価を1週間ぶりの高値となる38,356円6銭まで押し上げた。
前日の決算発表では、2024年3月期の損失が前年度の9701億円の赤字から2276億円まで縮小したことを明らかにした。
同グループの時価純資産(Net Asset Value、NAV)がほぼ倍増したことも、投資家にとって重要な要素となった。NAVは保有株式価値から純負債を引くことで算出される。同グループのNAVは、保有ポートフォリオ価値の半分を占めるアーム・ホールディングス(ARM)の業績が好調だったことにより、前年度末の14.1兆円から27.79兆円にまで増加した。
アームの重要性
アーム・ホールディングスは英国・ケンブリッジに本社を置き、世界のモバイル端末のほとんどを動かす半導体を設計している。一時期「英国の技術の頂点」とも称された同社は、2016年に234億ポンドでソフトバンクグループに買収された。2022年にはエヌビディア(NVDA)へ400億ドルで売却しようとしたものの、規制当局によって阻止された。
そこでソフトバンクグループは昨年9月にアームをナスダックに上場させ、上場日には株価が25%上昇した。現在、ソフトバンクグループはアーム株の89.8%を保有している。
アームは、クラウドコンピューティングやAIを動かす利益率の高いサーバーに事業を拡大している。データセンターの消費電力量は膨大で、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、オラクル(ORCL)など各社が、エネルギー効率の高い同社のチップを利用している。
ソフトバンクグループを超える時価総額
AI関連事業が急成長を遂げる中、同社は親会社より価値がある企業となった。新規上場(IPO)してから8ヶ月が経ち、約1205億ドルとなったアームの時価総額は、ソフトバンクグループの時価総額である12.236兆円(782.5億ドル)を50%以上上回っている。
ソフトバンクグループに買収されたことで、アームは研究開発に巨額の投資を行うことができたため、ソフトバンクグループはアームの成長に貢献したと言える。
T-モバイル買収で投資益増
一方、米通信会社T-モバイル(TMUS)への投資によってソフトバンクグループが昨年得た、80億ドルの投資益はまた別格のものだ。
同社は2013年に、米通信会社スプリントの72%を買収した。スプリントはその後、T-モバイルに買収されている。合併取引条件には無償でT-モバイル株を4880万株取得できるとあり、昨年12月にソフトバンクグループはその権利を執行した。
T-モバイルは時価総額で世界最大の通信事業者となり、ソフトバンクが保有している同社の株式9210万株は、143.77億ドル相当になると同社は公表している。
過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません。
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