日系損害保険会社株、政策保有株売却案を受けて過去最高値を更新
アフターコロナの保険事業の回復、株価評価益、さらに数兆円規模の政策保有株式売却案により、損害保険会社3社の株価は過去最高値を更新した。取り上げる銘柄は時価総額に基づいて選出されています。
株価が過去最高値を更新
時価総額(9.13兆円)で日本最大の損害保険会社である東京海上ホールディングス(8766)の株価は8日、過去最高値の4,623円に達し、この6ヶ月で3分の1上昇した。その翌週、4,400円台まで下落した後、15日には4,500円で大引けとなった。
MS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725)の株価も過去最高値の8,142円に達し、過去3ヶ月で3分の1の値上がりとなった。同社は傘下に複数の保険会社を擁しており、時価総額は4.29兆円となっている。桜田謙悟会長兼グループCEO
SOMPOホールディングス(8630)は、今月末に桜田謙悟会長兼グループCEOを辞任に追いやるスキャンダルに見舞われたにも関わらず、直近の株価上昇率では競合である大手2社を上回っており、時価は総額3.12兆円となっている。同社の株価はこの1ヶ月で21.9%上昇し、過去最高値となる9,546円をつけた。
ビッグモーター問題が改革を後押し
SOMPOは、中古車販売・修理を手掛けるビッグモーターが、顧客から修理で預かった車を故意に傷つけ、水増しした保険料を同社や他の損害保険会社に請求する詐欺について、見て見ぬふりをしていた。事件が明らかになった後、金融庁は業務改善命令を同社だけでなく、東京海上やMS&ADにも発出した。金融庁は4社に対し、トヨタ自動車(7203)や東急(9005)、信越化学工業(4063)などを含む政策保有株式5900銘柄の売却を進めるよう求めた。
数兆円規模の含み益
東京株式市場の上昇は、保険会社3社の国内保有株式の含み益の大幅な増加につながった。東京海上の政策保有株式は2.39兆円値上がりし、SOMPOは1.07兆円、MS&ADは2.06兆円増加した。
株主は「利益の半分」を得る可能性も
MS&ADは2月14日の決算発表説明会で、「政策株式の残高をゼロにするかどうかは、現在検討しているところです」と発言し、「現在の株主還元方針に照らしますと、売却益の税後の50%を株主に還元するということを示しておりますので、それに従うということかと思います」と付け加えた。
東京海上の2023年12月31日までの9ヶ月間の累計純利益は、前年同期比80.6%の5174.8億円で、3月31日を期末とする通期の利益予想は6700億円に上方修正した。MS&ADは同じ9ヶ月間に2816億円の純利益を記録し、前年同期比102.6%増となった。また、SOMPOの同期間の純利益は、前年同期の471.4億円の赤字に対して、3230億円の黒字となった。
保険引受事業の改善
東京海上とMS&ADは、保険引受関連の売上が改善した。
MS&ADの9ヶ月間の正味収入保険料は3.23兆円で、前年同期比で8.7%の増益となった。東京海上は同6.9%の3.75兆円だった。
ビッグモーターの不祥事の煽りを2社より大きく受けたSOMPOの保険引受利益は、1.4%の減収となり、正味収入保険料は1.3%減の2.96兆円となった。
取り上げる銘柄は時価総額に基づいて選出されています。また、過去の株価推移は将来の収益率を示すものではありません。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。