オーストラリア、物価上昇加速予想 8月CPI 豪ドル高要因か
豪州は物価上昇加速が見込まれ、豪ドル高要因となりえる。一方、投資家のリスク回避姿勢の強まりは豪ドルの上値を抑えそうだ。
オーストラリア統計局が27日に発表する8月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇の加速が予想されている。オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)が利上げを再開する可能性を感じさせる内容だ。豪ドル円相場は6月中旬から8月中旬にかけては豪ドル安傾向だったが、このところは中国経済への期待などもあり上向きの動きが目立ってきた。8月CPIが想定以上に強い結果だと受け止められれば、さらなる豪ドル高圧力として働く可能性もある。一方、投資家のリスク回避姿勢の強まりも感じられていることは、豪ドルの上値を抑えそうだ。
オーストラリアの8月のCPIは5.2%上昇の予想
オーストラリア統計局は27日午前11時30分(日本時間午前10時30分)に8月のCPIを発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、総合指数の伸び率は前年同月比5.2%となり、7月の4.9%から物価上昇が加速する見込み。予想通りになれば3か月連続で続いてきた物価上昇率の低下がストップすることになる。
RBAはこれまでの物価上昇減速を受けて、7月以降3会合連続で利上げを見送ってきた。10月3日の理事会でも利上げが見送られるとの見方が強い。金融情報会社リフィニティブのデータによると、3日の利上げ見送りについて投資家の動向から算出される確率は日本時間25日午前11時40分の段階で88%に達している。しかし8月のCPIの結果がRBAの物価上昇への警戒感を強めさせると受け止められれば、3日に利上げが決まるとの観測が強まる可能性がある。
豪ドル円相場で目立つ豪ドル高傾向
この場合は豪ドル円相場(AUD/JPY)は円安豪ドル高で反応することになりそうだ。豪ドル円相場は1豪ドル=97円台半ばをつけていた6月中旬以降、RBAの利上げ見送りを背景に、円高豪ドル安方向に進み、8月中旬には93円台での値動きとなっていた。だが、オーストラリア経済と結びつきが強い中国経済が、9月14日に発表された預金準備率引き下げなどで上向くといった期待もあり、このところは豪ドル高が進み始めている。日本銀行が22日に大規模金融緩和の維持を決めたことも円安豪ドル高要因となり、日本時間23日は95円台前半で取引されている。
一方、RBAは物価動向の判断基準として四半期ベースの数字を重視しており、8月のCPIが強くても次回の理事会では利上げには動かないとの見方も成り立つ。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が20日に政策金利高止まりの見通しを示したことで、投資家のリスク回避姿勢が強めまっていることは豪ドル安要因で、今後の豪ドルの上値が重くなる可能性も考えられそうだ。
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