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米FRB、利下げへの自信は? 31日FOMC 前回は円高と株高

アメリカでは物価減速と同時に利下げ難しさも感じられている。FRBの見解がFX市場や株式市場を大きく動かす可能性も。

米FRB、利下げへの自信は? 31日政策金利 前回は円高と株高 出所:ブルームバーグ

アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が30、31日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)は、物価情勢に関する見解がどのように示されるかが焦点だ。今回のFOMCでは物価上昇減速を受けた政策金利の据え置きが確実な情勢。一方、このところの米国の経済指標では、物価上昇圧力の強さを感じさせる結果も続いており、今後の利下げは容易ではないとの見方も広がっている。FRBが前回(12月)のFOMCで物価上昇減速を評価し、利下げに前向きな姿勢を示した際は、円高ドル安とS&P500種株価指数の値上がりが加速しただけに、今回のFOMCでも相場の値動きが大きくなる可能性がありそうだ。

1月のFOMCは政策金利据え置きが確実な情勢

CMEグループのデータによると、31日のFOMCで政策金利が維持されることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間29日正午時の段階で約97%。政策金利が5.25-5.00%で据え置かれることが確実視されている。

FRBの金融政策維持が濃厚なのは、米国の物価上昇率が着実に低下しているからだ。26日に発表された12月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率は食品とエネルギーを除いたコア指数で前年同月比2.9%。2021年3月(2.3%)以来2年9か月ぶりの2%台となった。また、25日に発表された2023年10-12月期のPCE物価指数を前期比年率換算でみると、2四半期連続の2.0%となっている。2022年1-3月期には6.0%もの伸びだったことを考えれば、米国の物価上昇率はすっかり平常に戻ったとみることもできる。

PCE物価指数(コア)の伸び率(月次は前年同月比、四半期は前期比年率換算)の推移のグラフ

FRBの3月利下げへの期待はじわじわと後退

それでもFRBの物価情勢判断に注目が集まるのは、このところの米国の経済指標が経済活動の底堅さを示しているからだ。なかでも17日に発表された12月の小売売上高は市場予想を超える強さで、物価上昇率の減速が消費を促し、改めて物価上昇圧力を招く可能性を示唆した。また10-12月期GDPの実質成長率は前期比年率3.3%で、市場予想(2.0%)を大きく上回っている。個人消費や企業の設備投資の底堅さが経済成長を支えており、やはり潜在的な物価上昇圧力を感じさせる。

こうした中、金融市場ではFRBの利下げ観測がじわじわと弱まってきた。CMEグループのデータでは、次回(3月)のFOMC後に政策金利が現状よりも低くなっていることに関する確率は約49%。12月下旬には90%程度となっていたことと比べれば、投資家は3月利下げに対する過度な期待を修正し、今では五分五分だとの立場をとっている形だ。

前回のFOMC後は円高ドル安とS&P500の値上がりが進行

このため今回のFOMCでFRBが物価上昇率の減速と経済活動の強さについてどのように評価するかで金融市場が大きく動く可能性がある。

LSEGのデータによると、FRBが前回のFOMCで利下げの方向性を示した12月13日には、ドル円相場(USD/JPY)で2.55円もの円高ドル安が進行し、翌日には一時、1ドル=140円台をつけた。また、13日はS&P500(SPX)も大きな値動きとなり、終値は前日比1.37%上昇した。その後の利下げ観測の後退の中では、ドル円相場は円安に転じる一方、S&P500は一時ペースを弱めながらも上昇を続けている

ドル円相場の日足チャートと主な出来事
アメリカの長期金利とS&P500の推移のグラフ

今回のFOMC後の声明文やジェローム・パウエル議長の会見で前回同様の利下げ路線が確認されれば、改めて円高や株高が進む可能性がある。一方、FRBの利下げ意欲が弱まったと受け止められば円安ドル高への圧力が強まるとともに、S&P500の上昇にブレーキがかかるシナリオも考えられそうだ。


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