FOMC、円安そしてドル円の焦点について
FOMC後の外為市場では米ドル安優勢の展開となった。米ドル安以上に円安の圧力が強まった。ドル円は約6年ぶりの119円台へ。今後の焦点は?そしてチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
FOMCと円安について
【サマリー】
・FOMCサマリー 22年の利上げは計7回の見通し
・パウエルFRBはインフレ抑制を急ぐスタンス
・強い円安の圧力
・ドル円の焦点とチャートポイント
・FOMCサマリー
米連邦準備理事会(FRB)は16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想どおりFF金利の誘導目標を0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げると決定した。また、最新の経済見通しが公表された。中央値の概要は以下のとおり。
3月の経済見通し
今年のGDP成長率を2.8%へ引き下げる一方、インフレ見通しは上4.1%へ大幅に上方修正した。
22年のFF金利の予想は1.875%(中央値)となり、計7回の利上げが見込まれる。一方、23年の中央値は2.75%で、3~4回の利上げが見込まれる。2015~18年の利上げ回数が9回だったことを考えるならば、今回の利上げペースの速さがうかがえる。
また、パウエルFRB議長は機敏な政策の修正に言及した。今後の経済情勢次第では、インフレ抑制のために金融引き締めペースが強化される可能性がある点は意識しておきたい。
・外為市場の反応
FOMC後、外為市場では米ドル安優勢の展開となった。しかし、対日本円では上昇した。弱い米ドルに対して円が下落した事実は、それだけ今の円安圧力が強いということを意味している。
実際に16日の円相場のパフォーマンスを確認すると、リスク選好相場の影響を受け資源国通貨や新興国通貨で円安が加速したことがわかる。
インフレ抑制のため金融引き締めに動く各国中銀と金融緩和政策を維持せざるを得ない日銀とのスタンスの差は、今後も外為市場で意識されよう。タカ派のFOMCを受けても米国株は上昇した。また、今後は国際商品市場の動向次第で、経常収支の悪化が常態化する可能性も考慮する必要がある。これらのことを総合的に考えるならば、円安トレンドを意識する状況が続くと予想する。
円相場のパフォーマンス(16日)
ドル円の焦点
・120円のトライが焦点に
ドル円(USDJPY)はFOMC後に、2016年2月以来(約6年ぶり)となる119円台へと上昇する場面があった(高値119.12)。
タカ派のFOMCを受け、アメリカの5年債利回りや10年債利回りが上昇したこと、その利回りの上昇を難なく消化した米国株が大幅高となったことも考えるならば、ドル円は引き続き上値トライを意識したい。
目先の焦点は、フィボナッチ・プロジェクションの重要な水準である161.8%(119.03レベル)をローソク足の実体で完全に突破できるかどうか?まずはこの点を確認したい。昨日は119.12レベルまで上昇し161.8%の突破に成功したが、それ以上の水準を維持することができなかった。しかし上で述べたとおり、今は円安の圧力が相当強い。よって、今日以降の161.8%の完全突破を意識したい。
これ(161.8%の突破)を達成する場合は、節目の120円トライが焦点として浮上しよう。
・下値の焦点は117.30レベル
一方、米金利が低下する局面では、ドル円の反落を想定しておきたい。
このケースでは、昨日のレポートでも指摘した117.30レベルの維持が目先の焦点となろう。この水準は今月11日にレジスタンスポイントとして、14日にサポートポイントとしてそれぞれ意識された経緯がある。本日は、10日線(EMA)が117.30台で推移している。
ドル円のチャート
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