今週の焦点:FOMCメンバーのインフレ見通しと株安局面での円相場の動き
今週は米FOMCに市場参加者の関心が集まろう。焦点は利上げのペースを左右するインフレ見通しにある。FOMCイベント後の米金利の反応に注目。5年ぶりに117円台へ上昇しているドル円の焦点は118.65レベルのトライ。ユーロドルは1.08~1.11レンジをどちらにブレイクするか?に注目。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今週の焦点:FOMCメンバーのインフレ見通しと株安局面での円相場の動き
【サマリー】
・3月FOMCの焦点は最新のインフレ見通し
・株安局面での円相場の動き
・ドル円の焦点とチャートポイント
・ユーロドの焦点とチャートポイント
・3月FOMCの焦点はインフレ見通し
今週も外為市場に影響を与えるイベントが多く予定されている。なかでも市場参加者の関心が高いのが、米連邦公開市場委員会(FOMC、15~16日)である。
パウエルFRB議長はすでに0.25%の利上げについて言及している。よって、今回の焦点は経済見通しにある。特に注目されるのが、利上げペースに大きな影響を与えるインフレの見通しである(パウエルFRB議長は今月2日の下院金融委員会で、インフレの動向次第で大幅な利上げの可能性があると言及)。昨年12月時点の予想から大幅にインフレ見通しが上方修正される場合(インフレの高止まり予想となる場合)、米債市場では金利の上昇圧力が高まる可能性があろう。米金利の上昇は米ドル相場のサポート要因となり得る。
また、インフレ見通し以外では、バランスシート縮小の具体的な内容について言及するかどうか?この点にも注目したい。
・株安局面での円相場の動き
先週はドル円(USDJPY)5年ぶりに117円台へと上昇した。しかし、円安が進行したのは対米ドルだけではない。円相場全体のパフォーマンスを確認すると、先週は総じて円安が進行した。
米国株を含め、世界の株式市場は未だ不安定な状況が続いている。それにもかかわらず外為市場で円安が進行したということは、これまで見られてきた「リスク回避→円買い」というトレンドが崩れつつあることを示唆している。
この要因として挙げられるのが、経常収支の悪化である。先週8日に発表された1月の国際収支(速報)によると、貿易収支の赤字幅拡大の影響で経常収支は1兆1,887億円の赤字となった(赤字額は過去2番目の大きさ)。
円相場のレートは経常収支のみで決定されるわけではない。しかし、その影響は大きい。
ウクライナ危機により国際商品市場では資源価格が高騰している。高止まりする可能性もある。資源価格の上昇(高止まり)で日本の経常収支の悪化が常態化すれば(またはその観測が高まれば)、株安は一時的な円買い要因、もしくはドル円の上昇を一時的に抑える程度のインパクトしか与えない可能性が出てくる。
日本の経常収支の悪化が円相場のトレンドに影響を与えているかどうか?この点を確認するために、今後は株安局面での円相場の動きに注目したい。
円相場のパフォーマンス
ドル円のチャートポイント
・上値の焦点は118.65レベルのトライ
今週のドル円(USDJPY)の焦点は、2016年の米大統領選挙後に付けた高値118.65レベルをトライするかどうか?にある。118.65トライのシグナルとして、まずは118円台へ上昇するかどうか?この点に注目したい。
3月のFOMC以降、米国は金融引き締めのフェーズへ突入していく。今週は17~18日に日銀金融政策決定会合も開催されるが、黒田日銀は現行の金融緩和政策を維持する公算が大きい。よって、日米の利回り格差は今後拡大傾向を辿るだろう。
上で述べたとおり、国際商品市場の高止まりと日本の経常赤字が常態化する可能性があることも考えるならば、ファンダメンタルズの面でドル円は上昇しやすい状況にある。事実、週明け早朝のドル円は上値トライとなっている。
また、通貨オプション市場のリスクリバーサルを確認すると、ドルプットからドルコールへ急速に傾いている。
これらの動きを総合的に考えるならば、ドル円は118円をトライする展開を想定しておきたい。118円台の攻防となる場合は、上で述べた118.65レベルのトライおよび突破が118円台での最大の焦点となろう。
・下値の焦点は116.30レベルの維持
一方、ドル円が反落する場合の焦点は、破られるまでレジスタンスのポイントとして意識されてきた116.30台がサポートポイントへ転換するかどうか?この点にある。
なお、先週の8日以降、サポートラインとして意識されている10日線(EMA)は今日現在、116.14レベルで推移している。
ドル円のチャート
ユーロドルのチャートポイント
・焦点は1.08-1.11レンジの攻防
今週のユーロドル(EURUSD)の焦点は、1.08-1.11のレンジをどちらにブレイクするか?この点が焦点となろう。
通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、ユーロ・コールから再びユーロ・プットへ傾いている。
1.11レベルがサポートポイントからレジスタンスポイントへ転換しつつあること、そして14日線(SMA)で相場の戻りが止めれた経緯も考えるならば、引き続きダウンサイドのリスクを意識したい。
・上下のチャートポイント
ユーロドルが下値トライとなる場合、まずは1.09前後の攻防に注目したい。この水準を難なく下方ブレイクする場合、次の焦点は1.08ミドルの攻防となろう。この水準は先週8日の安値レベルである。
1.08ミドルをもあっけなく下方ブレイクする展開は、1.08トライおよびブレイクのシグナルと想定したい。
一方、ウクライナ危機が後退する場合、ユーロドルは一時的にせよ急伸する可能性がある。ロシアのプーチン大統領は11日、ベラルーシのルカシェンコ大統領との会談で、ウクライナとの停戦交渉に関して「幾つかの前向きな進展があった」と述べた、との報道が伝わっている。プーチン氏の発言の真意は不明だが、ロシアが停戦に向けた姿勢を示す場合は、ユーロドルの反発を想定したい。
ユーロドルが反発するケースでは、上で述べた14日線(SMA)と1.11レベルの攻防が焦点となろう。これらレジスタンスポイントで再び上昇が止められる場合は、1.08トライの可能性を意識する状況が続くだろう。
ユーロドルが上で述べたレジスタンスポイントの突破に成功しても、短期レジスタンスラインで戻りが止められる場合は、やはりユーロドルの下落トレンドが続くシグナルとなり得る。
ユーロドルのチャート
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