米金利は政策相場のかく乱要因 / 安倍首相辞任が円相場に与える影響と菅氏の出馬
今日のサマリー。外為市場は引き続き米ドル安が軸となろう。政策相場のかく乱要因は米金利の反発。安倍首相辞任による「株安/円高」は一時的と予想。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米金利は政策相場のかく乱要因
ドル円は再び105円前半、ユーロドルは1.19台そして4月以降の株高トレンドにいち早く反応している豪ドル/米ドルは0.73台の攻防へシフトしている。
これら通貨ペアに共通する点は「米ドル安」である。
その米ドル安の根底にあるのが政策への期待であることを考えるならば、パウエルFRB(以下FED)は、市場の期待をつなぎとめることに成功していると言えよう。
事実、米株をはじめとした世界の株式市場は株高トレンドを維持している。
このトレンドが大きく崩れない限り、今週の外為市場も米ドル安が引き続き軸となろう。
8月に入り、米長期金利(以下では米金利)が反発する局面が散見されている。
FEDがゼロ金利政策を長期にわたり継続するスタンスであることを考えるならば、米金利の低空飛行状態は今後も継続しよう。
事実、今年の4月以降、上限として意識されている0.75%の水準を突破する局面では、米金利に低下圧力が高まるパターンが続いている。
だが、米金利が0.5%台という低すぎる水準まで低下する場合(=米債の価格が高すぎる水準まで上昇する場合)、8月のような調整の反発局面が見られよう。
今週、米金利が反発する材料として注目すべきは米指標データである。
特に9月1日の8月ISM製造業景況指数と4日の同月米雇用統計は、米金利のトレンドを左右する可能性が高い。
米株と同時に米金利が反発するケースでは、政策相場がかく乱されることで米ドル高を予想する。
米長期金利のチャート
安倍首相辞任が円相場に与える影響と菅氏の出馬
8月28日、安倍首相辞任の報道を受け日本株は急落し、外為市場では円高優勢の展開となった。
今後の政局が円相場に与える影響については、自民党総裁選の結果次第となろう。
筆者は現時点で安倍首相辞任のショックによる「株安 / 円高」は一時的と予想している。その理由は以下にある。
1:米ドル相場はFEDの政策にらみの展開となっている
2:菅官房長官の総裁選出馬
特に重要なのは菅官房長官の出馬である。
本日、菅氏の陣営は正式に出馬の是非を判断するものとみられる。
なぜ菅氏の総裁選出馬が「安倍辞任」のショックを後退させる要因となるのか?
キーワードは「安倍政権の踏襲」であるー
国内では、コロナショックに対する追加の景気対策を速やかに実行することが求められている。
そして国外(外交)では、米中対立の調整役としての役割を安倍政権は果たしてきた。
後者の点については、米中双方から安倍首相の功績を評価する声が聞かれている。
安倍政権が実行してきた政策を完全に踏襲するためには、安倍政権を知りつくした菅氏が適任である。
この点を意識してか、二階派の河村建夫会長代行は30日、菅氏を支持する空気が生まれつつあると記者団に語り、二階派は菅氏支持で方針を固めたとの報道も出ている。
焦点は最大派閥の細田派と第3位の麻生派の動向だが、「安倍政権の踏襲」という観点で考えるならば、菅氏支持を打ち出す可能性が高いだろう。
新首相の指名は9月17日に召集される臨時国会で行われる見通しとなっている。
菅氏が指名されることが規定路線と早くも株式市場で認識される場合、国内株式は安倍政権の政策が踏襲されるとの期待が高まり、「安倍辞任」のショックは後退すると予想される。
円相場は、米ドル相場のトレンドに左右される展開へと戻ろう。
ドル円だが、株高のみのリスク選好相場の局面では、104-106円後半のレンジで売り買いが交錯する展開を予想する。
一方、上でも述べたように米金利の反発により政策相場がかく乱される状況(=株高と米金利の反発の局面)では、107円トライを予想する。
ドル円のチャート
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