低下基調が続く米長期金利 / ドル円と豪ドル米ドルの焦点
サマリー:「米長期金利は景気の先行き不透明感を意識して低下基調を維持。この状況が続く限り、ドル円は上値の重い展開が予想される。今日はRBAイベントにも注目。ドル円と豪ドル米ドルの焦点は?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
低下基調が続く米長期金利
週明けの米債市場で長期金利(以下では米金利)は、1.15%台まで下落する局面が見られた。市場予想を下回ったIMS製造業景気指数を確認した後に金利の低下幅が拡大した状況は、現在の米債市場が景気の先行きに対して敏感に反応しやすい地合いであることを示唆している。
米金利の上昇が抑制される限り、ドル円(USDJPY)は上値の重い展開が予想されるとこのレポートで指摘してきたが、昨日は米株安も重なったことで安値109.20まで下落する局面が見られた。クロス円も円高優勢で推移したことを考えるならば、米金利の低下と米株安が同時に発生する局面では、今の外為市場は円が買われやすい相場にあるといえる。
米長期金利のチャート
ドル円の焦点
ドル円(USDJPY)は米金利にらみの展開が続こう。その米金利は上述したとおり、景気の先行きに敏感に反応する地合いとなっている。一方、金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.20%の水準を下方にブレイクし、現在は0.17%台まで低下している。
米金利の低下基調が続く中で米株が続落する場合、ドル円はサポートラインとして意識されている100日EMA(今日現在109.23レベル)を完全に下方ブレイクする展開を想定しておきたい。このケースでは、109円台の維持が焦点として浮上しよう。109.06はフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。テクニカル面でも109.00前後は重要なポイントといえる。
米株の下落幅が拡大する場合は、109円台の下方ブレイクを想定しておきたい。この展開となれば、リトレースメント76.4%の水準108.45レベルのトライが焦点として浮上する可能性がある。
一方、上値の焦点は50日EMA(今日現在109.88レベル)のトライおよび突破となろう。109.60レベルをブレイクできれば50日線トライの可能性を意識したい。だが、先月の29日と同じく50日線がレジスタンスラインとして意識される場合は、109円のブレイクを意識する局面が続くと予想する。
ドル円のチャート
豪ドル/米ドルの焦点
今日の午後は、豪準備銀行(RBA)イベントがある。7月の会合では、9月から債券買い入れのペースを週50億豪ドルから40億豪ドルに縮小するとした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大と豪州の最大都市であるシドニーのロックダウンが長期化していることで、7月の会合で示された債券買い入れの縮小方針を転換する可能性が指摘されている。実際にRBAが7月の方針を撤回すれば、豪ドル相場にとってはネガティブ要因となろう。
豪ドル/米ドル(AUDUSD)は現在、0.73-0.74を中心としたレンジ相場となっている。米株の上昇や米金利が低下基調にある中でも0.74前後で上値が抑制されている状況は、豪ドル相場の地合いの弱さを示している。このタイミングで今日のRBA会合が豪ドル売りのイベントとなれば、0.7330台で推移している短期サポートラインの下方ブレイクを想定したい。豪ドル売りのタイミングで今晩の米株が続落する場合は、0.72台へ下落する可能性を意識したい。
一方、RBAイベントで豪ドル買いの圧力が高まる場合は、0.7380-90レベルで推移している短期レジスタンスラインの突破が焦点となろう。このラインの突破は、0.74トライのシグナルと想定したい。だが、米株が最高値圏での攻防を維持し、米金利が低下基調にある中でも豪ドル/米ドルの上昇は抑制されている。この状況を考えるならば、0.74レベルでの反落リスクを常に意識しておきたい。
豪ドル/米ドルのチャート
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