FOMCの焦点はFRBが考える景気の動向 / ドル円とポンドドルのチャートポイント
サマリー:『低下基調を維持する米金利。FOMCの焦点はパウエルFRBが考える将来の景気動向にある。ドル円とポンドドルのチャートポイントは?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
FOMCの焦点は米国の景気動向
現在の米債市場では、金利の上昇が抑制されている。パウエルFRBの政策転換が意識される中でも2年債利回りは0.28%で上昇が止められ、現在は0.20%台で横ばいの状況にある。10年債利回り(長期金利)は1.3%手前で反発が抑制され、昨日は1.23%台へと低下した。
長期金利の低下は、米債市場の参加者が景気の先行き不透明感を意識していることを示唆している。このような状況の中、パウエルFRBが将来の景気動向についてどのような見解を持っているのか?今回のFOMCではこの点に注目したい。
新型コロナウイルス変異型の感染拡大を懸念し、パウエルFRBが将来の見通しについて厳しい見方を示す場合、「8月下旬のジャクソンホールでテーパリングについて示唆→年内にもテーパリング開始」という観測が後退しよう。
一方、FRBの予測どおりに景気が回復していくとの認識を示す場合、早期(年内)のテーパリング開始の可能性を各市場に意識させるだろう。
前者の場合、外為市場では米ドル売り優勢の展開が予想される。だが、早期のテーパリング開始の観測が後退しても、今秋のFOMCでテーパリングを示唆し、来年はじめにテーパリングを開始する可能性が高い(筆者は来年はじめのテーパリング開始をベースシナリオとしている)。時期に関する思惑が交錯しても、「金融政策の正常化に向かうFRB」という状況は変わらない。このため、FOMC後に米ドル売りとなっても、米ドル高への転換を常に意識しておきたい。
一方、後者の場合は、FRBが金融政策の正常化に向けてアクセルを踏み込んできたとの観測が意識されよう。このケースでは、米ドル高の展開を予想する。
米金利の動向
ドル円のチャートポイント
昨日のドル円(USDJPY)は、米株安と金利の低下で110円割れの展開となった。
50日EMA(今日現在109.98)を陰線でブレイクしている状況を考えるならば、意識すべきは89日EMA(今日現在109.41レベル)のトライである。このEMAは昨年、レジスタンスラインとして意識された経緯がある。そして今年の2月上旬にレジスタンスラインからサポートラインへ転換し相場を下支えした。フィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準109.52のブレイクは、89日線をトライするシグナルと想定したい。
89日線をもブレイクする場合は、109.00トライが次の焦点として浮上しよう。
一方、上値の焦点は110円台への再上昇である。50日線の突破と言い換えてもよい。
これを達成する場合は、今月23日と26日に相場の戻りを抑制した110.60レベルのトライおよび突破となるか?これらの点に注目したい。
ドル円のチャート
ポンドドルのチャートポイント
昨日のレポートで取り上げたポンドドル(GBPUSD)は、予想どおり反発の幅が拡大している。昨日は大陽線の示現で短期レジスタンスラインの突破に成功すると、89日EMA(今日現在1.3882レベル)を上方ブレイクする局面が見られた。
今日の焦点は89日線の攻防である。FOMCで早期のテーパリング観測が後退すれば、ポンドドルは89日線を突破すると予想する。このケースでは、フィボナッチ・リトレースメントの50.0%および61.8%の各水準での攻防となるか?この点に注目したい。
前者の50.0%の水準1.3912レベルは、今月上旬のレジスタンスポイントでもある。そして後者の61.8%の水準1.3992は、6月23-24日にかけて相場の戻りを止めた経緯がある。ともに重要なレジスタンスのポイントとして意識しておきたい。
一方、FOMC後に反落する場合、まずは21日EMA(今日現在1.3826レベル)の攻防が焦点となろう。
21日線を下方ブレイクする場合は、昨日の安値1.3767レベルのトライおよび維持が次の焦点となろう。昨日の長い下ヒゲは、1.3760台でのポンド買い意欲の強さを示唆している。
ポンドドルのチャート
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