加速する米ドル高 / ユーロドルとポンドドルの短期的展望
サマリー:「インフレでも米国の個人消費は堅調さを維持。米金利とドル相場には上昇の圧力が高まる。ポンドドルとユーロドルの短期的な展望は?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
加速する米ドル高
・インフレでも個人消費は堅調 高まる米ドル買いの圧力
昨日の外為市場では、米ドル買い優勢の展開となった。この要因は利回りの上昇にある。この日発表された10月小売売上は前月比で1.7%と3カ月連続で増加し、市場予想の1.2%を上回った。コア(自動車を除く)も同月比で1.7%となり、インフレが進行する中でもアメリカ経済のエンジン役である個人消費の底堅さが確認された。米国株の主要3指数も上昇したことで、長期金利は1.64%台へと上昇した。5年債利回りも1.28%台まで上昇する局面が見られた。
米金利の上昇はドル相場のサポート要因となり、ドルインデックス(DXY)は96ポイントを目指す展開となっている。
インフレの進行、堅調な個人消費そしてパウエルFRBが金融政策の正常化を目指している状況を考えるならば、金融緩和政策の転換が期待できない対円とユーロでさらに米ドル高が進行する可能性がある。
事実、ドル円(USDJPY)は昨日、10月高値の114.70を上方ブレイクした。ユーロドル(EURUSD)は一気に1.13ブレイクのムードが高まっている。
ドルインデックスと米金利のチャート
ポンド相場は利上げ期待がサポート要因 対米ドルのチャートポイントは?
・回復が確認された英国の雇用 高まる12月の利上げ期待
昨日、米ドル買いの圧力と互角の戦いを演じたのが英ポンドだった。
この日発表された雇用統計で失業率(9月、ILO方式)は4.5%から4.3%へと低下し、10月の被雇用者数は16万人増加した。一時帰休者の賃金を補助する雇用支援の制度が9月末で終了した影響を確認するため、BoEは次回の雇用指標もチェックすると思われるが、短期金融市場では12月会合での利上げ確率が65.1%まで上昇している。利上げ期待はポンド相場のサポート要因となろう。
FRBの政策転換と昨日の長い上ヒゲの示現を考えるならば、ポンドドル(GBPUSD)が上昇トレンドへ回帰する可能性は低い。だが、ユーロドルとは違い、利上げ期待によりポンドドルはレンジ相場へシフトするか、下落トレンドが継続してもそのスピードは緩やかになると予想する。
・ポンドドル 上下のチャートポイント
今日のポンドドルは、16時に発表される10月の指標データ(消費者物価指数 / 小売物価指数)後の動きに注目したい。
目先のチャートポイントだが、上値は昨日の上昇を止めたフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準1.3465レベルである。すぐ上の水準1.3472レベルには10日EMAが推移している。今月に入り10日線は、相場の反発を抑制するレジスタンスラインとして意識されている。まずは1.3470前後の攻防を注視したい。
この水準の突破に成功する場合は、1.35台への上昇と38.2%の水準1.3536トライを予想する。
一方、上で述べたとおり米金利の上昇が続く場合は、米ドル買いの圧力がポンド買いの圧力を相殺しよう。このケースでは、今月12日の安値1.3352レベルのトライを常に警戒しておきたい。
この水準(1.3352レベル)を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・プロジェクション100.0%の水準1.3332レベルを次のサポートと想定しておきたい。
ポンドドルのチャート
ユーロドルは一気に1.13トライが焦点に
このレポートでは、ユーロドル(EURUSD)の下落リスクを指摘してきた。
そのユーロドルは昨日、フィボナッチ・プロジェクション100.0%の水準1.1308レベルをトライする展開となった。かろうじてこのテクニカルポイントでサポートされてはいるが、通貨オプション市場のリスクリバーサルは、ユーロプットの状況となっている。米欧の金融政策スタンスの違いがユーロドル下落の根底にあることを考えるならば、1.1308ブレイク(事実上の1.13台ブレイク)を警戒する局面にある。
昨年6月に1.12台の攻防が見られた。しかし、明確なサポートポイントは見当たらない。よって、1.13を下方ブレイクする場合は、1.1200を目指す可能性を常に意識しておきたい。
一方、ユーロドルが反発する場合は1.1400前後、10日EMA(今日現在1.1440レベル)が推移する水準、そして1.1455レベルで反落する展開を想定しておきたい。
ユーロドルのチャート
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