反発基調にある米金利 / ドル円とユーロドルの焦点
サマリー:『インフレは一時的との見方がある中で米金利は反発基調にある。目先はパウエル証言と米指標データの反応に注目。ドル円とユーロドルの焦点について』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
反発基調にある米金利
6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で5.4%となり、2008年8月以来の水準まで上昇した。一方、コア指数も同比4.5%上昇した。
CPI発表後、米長期金利(以下米金利)は上昇で反応するも、すぐに低下する展開に。この反応を見る限り、米債市場では「インフレは一時的」という思惑が根強く意識されていることがうかがえる。
しかし、米金利は反発の基調にある。30年債の入札が低調だったことで、昨日は一時1.42%まで反発する局面が見られた。
今日はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が下院金融委員会の公聴会で証言を行う(日本時間15日午前1時)。金融政策について目新しい発言が聞かれる可能性は低いが、米金利の変動要因として注目しておきたい。
明日は景気の先行指標である7月ニューヨーク連銀製造業景気指数や同月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表される。そして16日には個人消費の動向を考える上で重要な6月小売売上高の発表もある。これら重要指標データが総じて市場予想を上回る場合、米金利は1.5%へ向けて反発基調を維持する可能性があろう。米金利の上昇は、米ドル相場のサポート要因となろう。
米長期金利のチャート
ドル円の焦点
ドル円(USDJPY)は、110.40レベルの突破に成功した。今日も米金利の動向にドル円のトレンドが左右される展開を予想する。その米金利は現在、反発の基調にある。よって、ドル円の焦点は111円台の再トライとなろう。今月7日のNYタイムにドル円の反発を抑制した110.80レベルの突破は、111円トライのシグナルと想定したい。
111円台へ上昇した後の焦点は、フィボナッチ・プロジェクション50.0%の水準111.65レベルのトライとなろう。今月1~2日にかけてこの水準で相場の上昇が止められた。
111円台の維持もさらなる上値トライのシグナルとなるため、この点にも注目したい。
一方、下値の焦点は50日EMA(今日現在109.95レベル)、109.80レベルそして109.50台で変わらず。連日米株が崩れる状況に陥らない限り、50日線前後で反発する展開を予想する。
ドル円のチャート
ユーロドルの焦点
ユーロドル(EURUSD)は10日EMA(今日現在1.1834レベル)を完全に突破しきれず、昨日は大陰線が示現した。
1.1780のサポートポイントをローソク足の実体で下方ブレイクしている状況に加え、米欧の金融政策スタンスに差が出始め、かつユーロポンドが再び下落基調にあることも考えるならば、ユーロドルは1.17トライの可能性を意識する局面にある。
ユーロドルの下落トレンドが続く場合、目先の焦点は4月5日の安値1.1736レベルとなろう。この水準の下方ブレイクは、1.17トライのシグナルとして警戒したい。
一方、上値の焦点は1.1880レベルの攻防となろう。今月に入り、この水準がレジスタンスのポイントとして意識されている。すぐ上の1.1891レベルには21日EMAが低下している。1.1880-90レベルをレジスタンスゾーンとして捉えたい。このゾーンで反落する場合は、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。
ユーロドルのチャート
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