焦点は米金利の動向 /ドル円とユーロドルのチャートポイント
サマリー:「米ドル相場も米株も利回り動向、特に長期金利の動きが焦点に。ドル円とユーロドルのチャートポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
焦点は米金利の動向
・インフレの加速と米金利の動向
米国のインフレ率(消費者物価指数、CPI)は、約31年ぶりに6%台へと上昇している。10月CPIの発表後、2年債、5年債そして10年債の各利回りは上昇した。目先の焦点は、インフレの加速を意識して米金利の上昇が続くかどうか?この点にある。
現在の異常なインフレの主因となっているのが、コロナデルタ株の感染拡大による供給制約である。この問題は、徐々に解消に向かうだろう。それに伴ってインフレの水準も徐々に低下していくだろう。
だが、FRBが想定している来年4-6月期もしくは7-9月期にインフレが下がり始めるかどうか?は、現時点で確実とは言えない。仮にインフレが低下へ転じても、金融引き締めなしでFRBが物価目標とする2%やそれを適度に上回る水準までインフレが順調に低下していくかどうかも不透明である。労働市場が改善傾向にあることも考えるならば、インフレの進行は早期の利上げを正当化する理由になり得る。
このようなことを米債市場の参加者が先取りする場合、米金利は上昇トレンドを維持するだろう。特に金融政策の動向に敏感な2年債や5年債の利回りには上昇ムードが感じられる。
米国2年債利回りと5年債利回りのチャート
・焦点は長期金利の動き
ドル円(USDJPY)のトレンドを考える上では、5年債利回りの動きが重要となる。しかし、米ドル相場全体のトレンドを考えるならば、やはり長期金利(10年債利回り)の動きが重要である。
10月CPIの発表直後、長期金利は上昇で反応した。しかし、10月以降からの動きを確認すると低下トレンドにある。インフレが進行する中でも長期金利が低下している状況は、今が景気拡大のピークであり、今後は景気が鈍化していくことを先取りした動きを示唆している。この点を30年債と5年債の利回りスプレッドで確認すると、今年の5月以降低下基調にある。そして10月以降、インフレの加速に連動するようにスプレッドの縮小が加速している。
米国30年債利回りと5年債利回りのスプレッド
10月CPI後の長期金利の上昇が一時的な現象で終われば、実質金利(10年)もマイナス圏での推移が続こう。これは米ドル高の圧力を後退させる要因である。一方、米長期(実質)金利の低下は米国株、特に決算を順調にクリアし続けてきたグロース株にとってポジティブ要因となり得る。
よって、長期金利が再び低下する場合、外為市場では米ドル高の圧力が後退する一方、利上げスタンスにあるカナダドルやNZドルのサポート要因となり得る。
また、米ドル高が抑制されることで短期的に資源価格が上昇トレンドを維持することも予想される。この観点からもカナダドルは堅調に推移する可能性がある。新興国通貨ではロシアルーブル、南アランドそしてメキシコペソなどの動きに注目したい。
ドル円とユーロドルのチャートポイント
・ドル円(USDJPY)
ドル円(USDJPY)は再び114円台へと上昇している。
今日以降の焦点は、上で述べたとおり米金利の動向にある。米金利の上昇基調が続く場合、ドル円は10月にレジスタンスのポイントとして意識される局面が見られた114.20レベル、114.30レベルおよび114.50レベルの水準を着実に突破するかどうか?この点に注目したい。
114.50の突破は、10月20日の高値114.70レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
一方、10月CPIの結果を受けた米金利の上昇が一過性で終わる場合は、上のレジスタンスポイントで反落する展開を想定したい。ドル円が反落する場合、21日EMA(今日現在113.44レベル)を維持できるかどうか?この点を確認したい。
21日線を下方ブレイクする場合は、相場の下落をひとまず止めたフィボナッチ・リトレースメント50.0%の水準112.75レベルのトライが、来週以降、再び焦点として浮上すると予想する。
ドル円のチャート
・ユーロドル(EURUSD)
ユーロドル(EURUSD)は、昨日のレポートで指摘したフィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準1.1455レベルをも完全に下抜けてきた。1.1500レベルすらトライすることなく連日で陰線引けとなっている状況も考えるならば、ユーロドルの地合いはやはり弱い。次は1.1400トライが焦点となろう。
1.14台をも下方ブレイクする展開となれば、次の焦点としてフィボナッチ・リトレースメント100.0%の水準が浮上する。このテクニカルポイントは1.1308レベルに当たるため、事実上、1.13台維持の攻防と想定したい。
米金利の低下などでユーロドルが反発する場合は、1.1500レベル、1.1520レベルおよび1.1530レベルの各ポイントで反落する展開を警戒したい。10月に相場をサポートした経緯があるこれらの水準がレジスタンスへ転換する場合、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。
1.1530レベルを上方ブレイクしても、21日EMA(今日現在1.1567レベル)で反落する可能性も常に意識しておきたい。
ユーロドルのチャート
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