上昇基調にある米長期金利 / ドル円とユーロドルの焦点
サマリー:「7日は米金利の反発により外為市場ではドル買い優勢の展開に。ドル円は短期レジスタンスラインの突破に成功。ユーロドルは50日線の攻防に。目先の注目ポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
雇用統計後、上昇基調にある米長期金利
7日の米債市場で、長期金利(以下では米金利)は1.38%台まで上昇した。米金利の上昇は先週3日の米雇用統計(8月)の発表後から始まった。
6日(月)のレポートで指摘したが、Q2以降、上昇し続けている平均賃金の動向が、米金利反発のきっかけと考えられる。賃金の上昇は所得と消費の拡大を促す。個人消費の拡大は、米国の景気を下支えすると同時にインフレの要因にもなる。
今のところ期待インフレ率に大きな変動は見られないが、8月の下旬以降は緩やかな上昇基調へと転じている。米金利の上昇トレンドが続くかどうか?この点を考える上で、インフレ期待の動向を常にウォッチしておく必要があろう。
米長期金利のチャート
米国 平均賃金の推移
短期レジスタンスラインを突破したドル円 次の焦点は?
ドル円(USDJPY)は昨日、短期レジスタンスラインの突破に成功し、高値110.31レベルまで上昇した。米株(ダウ平均とS&P500)は下落したが、金利上昇の影響の方が大きく大陽線が示現。今日のドル円も米金利にらみの展開が予想される。
テクニカルラインを突破したことで次の上値の焦点は、110.40台のトライおよび突破である。今月1日に110.41で上昇が止められた。先月13日に大陰線が示現した時の高値は110.45レベルだった。また、110.40レベルはフィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準にあたる。
110.40台を完全に突破する場合は、110.70台のトライが焦点となろう。7月中旬以降、ローソク足の実体ベースで110.70の突破に失敗している。先月11日は110.79レベルで上昇が止められた。
米金利が低下する場合は、ドル円もその動きに連動して反落することが予想される。このケースでの焦点は、110円台の維持である。
米株が同時に下落する場合は110円割れを想定しておきたい。だが、米金利の低下幅が限定的ならば、サポートラインとして意識されている89日EMA(今日現在109.62レベル)を維持する状況が続くと予想する。
ドル円のチャート
ユーロドルの焦点は50日線の攻防
ユーロドル(EURUSD)は、連日の陰線示現でフィボナッチ・リトレースメント38.2%(1.1893)と89日EMA(今日現在1.1876レベル)の突破に失敗した。
6日のレポートで指摘したとおり、ユーロドルが反落する局面で注目したいのが、50日EMA(今日現在1.1832レベル)の攻防である。50日線はサポートラインとしてもレジスタンスラインとしても意識される局面が見られる。現在はサポートラインとして意識されるかどうか?この点に注目したい。
8月下旬以降のユーロドルと米独利回り格差の動きを比較すると、利回り格差が縮小する局面でユーロドルが上昇してきたことがわかる。直近は、米金利の上昇により利回り格差が拡大傾向にある。それに伴いユーロドルの上昇が止まっている。今日も米金利の上昇が続く場合は、50日線のトライおよびブレイクを警戒したい。
50日線を下方にブレイクする場合、次の焦点は1.18の攻防となろう。8月にこの水準はレジスタンスとして意識された。この水準がサポートへ転換するかどうか?この点を確認したい。
ユーロドルが反発する場合は、上で述べたテクニカルポイントのトライおよび突破に注目したい。
ユーロドルと米独利回り格差のチャート
ユーロドルのチャート
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