インフレを意識してジワリと上昇する米金利 焦点は1.7%の攻防 / ドル円とポンドドルの焦点
サマリー:『インフレを意識して米金利はジワリと反発している。今日は米CPIの内容に注目。ドル円とポンドドルの焦点は?』詳細はマーケットレポートをご覧ください。
インフレを意識してジワリと上昇する米金利 焦点は1.7%の攻防
11日の欧米株式市場は全面安の展開となった。一方、米債券市場では長期金利(以下米金利)が一時1.63%台まで上昇する局面が見られた。リスク回避相場にもかかわらず米金利が上昇した理由はインフレ懸念にある。
11日のレポートの『米金利はレンジの攻防を維持』で指摘したとおり、4月の下旬以降、市場が抱くインフレ期待は再び上昇トレンドにある。同月から穀物や木材といったソフトコモディティで上昇トレンドが鮮明になっていることを考えるならば、インフレ期待の上昇は資源インフレによるところが大きい。
今日は4月米CPI(消費者物価指数)が発表されるが、市場予想を上回る内容となればインフレの加速が意識されることで、米金利にはさらに上昇圧力が高まることが予想される。
このケースでの焦点は、レンジの上限として意識されている1.7%の攻防となるかどうか?この点にある。
米金利がこの水準を目指す展開となれば、米株ではグロース株を中心に売り圧力が高まることが予想される。
外為市場では米ドル買いと円買いの圧力が同時に高まろう。このケースでのドル円(USDJPY)は『米ドル買vs円買い』の戦いよって、108円台を中心としたレンジ相場を予想する。
期待インフレ率と米長期金利のチャート
ドル円の焦点
米株が下落し金利が反発する局面でのドル円(USDJPY)は『米ドル買いvs円買い』を予想する。コアレンジは108.30-109.00と想定し、『株安→円高』により108.30ブレイクとなれば、108.00および75日MAを視野に下落幅の拡大を警戒したい。
現在のドル円は、50日SMAとEMAの間で上下に振れる展開となっている。また、75日MAはSMA、EMAともに107.80台で推移している。先月の23日にドル円の下落トレンドを止めたのがEMAであることを考えるならば、再び相場をサポートする可能性があろう。
米金利の反発で米ドル買い優勢の展開となる場合は、109円台への上昇が焦点となろう。テクニカル面では50日SMAの攻防に注目したい。
一方、米CPIが市場予想以下となる場合は、米株の反発を予想する。このケースでの焦点は金利の動向となろう。
米株と金利が同時に上昇する場合は、上述した50日SMAの突破および短期レジスタンスライン(今日現在109.30レベル)のトライを想定したい。
一方、米株が反発しても金利が低下する場合は、『米ドル売りvs円売り』の展開を予想する。このケースでは、コアレンジ108.30-109.00の攻防を予想する。
だが、現在は国内のワクチン接種の遅れにより円安の圧力が高まり安い状況にある。米株高となれば、円安優勢で推移する可能性の方が高いだろう。
ドル円のチャート
米金利が上昇しても堅調地合いを維持するポンドドル
昨日のレポートで取り上げたポンドドル(GBPUSD)は、米金利が反発基調を維持しているにもかかわらず、連日で陽線引けとなった。対ユーロと円でもポンド高基調が続いていることを考えるならば、ベースシナリオはさらなる上値のトライにある。焦点は1.42のトライとなろう。昨日の高値1.4168のブレイクは、1.42トライのシグナルと想定したい。
だが、年初来からの動向を確認すると、50日MAとの乖離が2%前後まで拡大すると反落するパターンが見られる。今日の米CPIで米金利の上昇幅が拡大する場合は、ポンドドルの反落を警戒しておきたい。このケースでは1.40台の維持が焦点となろう。
ポンドドルのチャート
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