米金利はレンジの攻防を維持 / ポンドドルとポンド円の焦点
サマリー:『米金利は予想通りレンジの攻防を維持。今後の焦点はレンジの上限1.7%の突破にある。ポンド相場は早期の景気回復期待を背景に上昇トレンドを維持している。ポンドドルとポンド円の焦点は?』詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米金利はレンジの攻防を維持
7日のさえない雇用統計で一時1.5%の水準を割り込んだ米長期金利(以下米金利)だったが、この日は1.6%台へと反発。予想通りレンジ内の攻防を維持している。
この動きは、米金利の先高観を示唆している。その土台となっているのが、『大規模な経済対策の導入→景気の回復→インフレ期待』である。
市場が抱くインフレ期待を確認すると、5年と10年のそれらは4月の下旬以降、再び上昇トレンドにある。米金利の反発は、このような市場のインフレ期待を反映した動きといえる。
市場のインフレ期待が根強いとなれば、目先の米金利の焦点は、レンジの上限として意識されている1.7%の水準を突破し節目の2.0%へ向けて上昇するかどうか?この点にあろう。
来年以降、米国の経済成長は鈍化する可能性が高い。それゆえFEDは、インフレは一時的とのスタンスにある。
それでも米金利が1.7%の水準を突破する場合は、米債市場の参加者がFEDの予測よりも市場のインフレ期待の方を強く意識し始めたシグナルと捉えたい。
米金利が1.7%の水準を突破する局面となれば、外為市場では再び米ドルを買い戻す動きが見られよう。
逆に1.7%前後で米金利の上昇が抑制される場合は、米債市場でFEDのスタンスも同時に意識されているシグナルとなろう。米株が最高値圏の攻防となっている状況も考えるならば、米金利のレンジ相場維持は米ドル安の要因と捉えたい。
米期待インフレ率のチャート
ポンドドル(GBPUSD)の焦点
昨日、米金利が反発する中、強さを見せたのがポンドドル(GBPUSD)である。
日足のローソク足では大陽線が示現し、一気に1.41台まで急騰した(高値1.4161)。NYの終値ベースで1.41台を維持したこと、対ユーロで再びポンド高優勢のムードとなっていること、そして市場の短期的な予測を反映するリスクリバーサル(1週間)が上昇基調にあることも考えるならば、ポンドドルは調整の反落を挟みながら、今年2月の高値1.4239を視野に上昇幅が拡大する可能性が出てきた。
目先の焦点は、2月25日高値1.4184の突破である。これを達成する場合は、1.42台への上昇を予想する。
一方、調整の反落局面では、1.40台の維持が焦点となろう。今年の3月以降、この水準はレジスタンスとして相場の上値を抑制し続けてきた。その水準がサポートへ転換すれば、ポンドドルの地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
1.40以下の攻防へシフトしても、50日MA(今日現在1.3868レベル)で相場がサポートされる展開を予想する。
ポンドドルのチャート
ポンド円(GBPJPY)の焦点
円相場の年初来パフォーマンスを確認すると、対カナダドルで9.8%の円安となっている。次いで対英ポンドで8.2%前後の円安となっている。
これらに共通していることは、早期の景気回復期待が期待されている通貨に対して円安が加速していることである。特に英国では新型コロナワクチンの供給が進んでいることで、段階的に海外旅行の解禁を模索する段階まで社会が正常化に向かっている。対照的に日本ではワクチンの供給が進まず、未だに緊急事態宣言下にある。そして米株が最高値圏での攻防を維持している状況も考えるならば、ポンドドルと同じくポンド円(GBPJPY)も上値のトライを想定したい。
ポンド円は昨日、4月6日の高値153.44を明確に上抜けてきた。ポンドドルと同じく50日MA(今日現在151.06レベル)を維持しての153.44ブレイクとなったことに加えて、MACDではゴールデンクロスが示現。これらはポンド円の地合いの強さを示している。
目先、上値の焦点は154円台へしっかりと乗せてくるか?この点を確認したい。これを達成する場合は、155円を視野に上昇幅の拡大を予想する。
一方、調整の反落局面では、今年の4月以降、相場の上昇を抑制してきた152円レベルがレジスタンスからサポートへ転換するかどうか?この点に注目したい。152円が相場の反落を止める場合、ポンド円は上昇トレンドを維持しよう。それは50日MAの維持も同じである。
ポンド円のチャート
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