不安定化する米株 複雑化する外為市場
トランプ米政権による現在の対中政策を考えるならば、米株はG20サミットまで上下に振れる展開が想定されます。米金利には恒常的に低下圧力がかかりそうです。外為市場のトレンドを見極めるポイントは?マーケットレポートをご参照ください。
Analysis Highlights
・不安定化する米株 複雑化する外為市場
ナスダック100を原資産としたボラティリティ指数VXNは、一時23ポイント台まで上昇する局面が見られた。23日のレポート「米中対立報道と個別要因」で指摘したとおり、現在の米株はハイテクセクターにらみの展開となっている。次世代通信規格「5G」や中国製ドローン(小型無人機)をはじめとしたハイテク分野をターゲットに、トランプ米政権が先手を打ち続けている現状を考えるならば、来月下旬の主要20カ国・地域(G20)首脳会議まで米株は上下に振れる不安定な動きが続こう。米株の不安定化に伴い米長期金利(以下米金利)も低空飛行状態が続くだろう。
外為市場の動向はより複雑化しよう。株式と米金利を基本軸と置き、昨日のようなリスク回避局面―「株安 / 米金利低下」の局面で最も買われやすい通貨は日本円とスイスフラン、最も売られ易い通貨は資源国通貨や新興国通貨である。しかし、後者においては各個別要因も考える必要がある。例えば、昨日NY原油先物価格(7月限)が節目の60ドル台を一気に割り込むと、今年3月中旬以来となる57.33ドルまで急落する局面が見られた。株安に加え原油安が重なれば、米金利の低下圧力(=米ドル安圧力)よりも、リスク資産価格の下落の方がより大きく影響する。それ故、リスク性が高く且つエネルギー輸出の依存度が高いロシアルーブルの下落幅が拡大しやすい。一方、先進国通貨では原油価格との連動性が高いカナダドルへの売り圧力が高まろう。事実、23日のロシアルーブルは対米ドルで0.80%下落。主要新興国通貨の中で最も下落幅が拡大した。カナダドルも同様に0.31%の下落と、先進国通貨の中で最も下落率が大きかった(同じく対米ドル)。確かに米金利の低下は米ドル安要因である。事実、ドル円は米金利の低空飛行により、株高局面でも上値の重い状況が続いている。また昨日のユーロドルは安値1.1106まで急落後、米金利の急低下により高値1.1187まで急上昇した。しかし、通貨ペアが違えば米金利の低下よりも個別要因がより大きく影響することで米ドル高(他通貨安)となる局面が発生することも念頭に置く必要があろう。
【米株ボラティリティ指数VXN】
・ドル円とユーロドルの展望
本日のドル円は株式、特に米株の動向にトレンドが左右されよう。VXNは上昇中だが、リスク回避相場が発生する25ポイントの水準までは到達していない。また、昨日のような株安後にはトランプ米政権サイドから株式サポート発言があるパターンが見られる。米株が反転する場合、110円台の回復が焦点となろう。テクニカ面では21日MA(110.37前後)のトライに注目。警戒すべきは続落するケースである。攻防分岐のフィボナッチ・プロジェクション38.20%の水準109.05を下方ブレイクする場合は、108円台の攻防シフトを想定したい。110.00ではオプションバリアの攻防を想定。一方、109.00にはビッドの観測あり。
ユーロドルは、引き続き金利にらみの展開となろう。米株が続落する場合、米独利回り格差の縮小傾向が続こう。このケースでは21日MA(1.1188)の上方ブレイクと1.12台の攻防シフトを予想する。一方、米独利回り格差が拡大する場合は、新たな重要サポートポイント1.1106を視野に再び下落する展開となろう。1.1200にはオファー、1.1100にはビッドがそれぞれ観測されている。
【ドル円】
【ユーロドル】
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