外為市場の展望:2022年前半
「2022年前半の外為市場は米ドル高を予想。しかし、そのパフォーマンスは各国の金融政策スタンスに影響されるだろう。ドル円とユーロドルではもう一段の米ドル高を予想する。ドル円のチャートポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
外為市場の展望:2022年前半
【サマリー】
・2022年前半の外為市場は米ドル高を予想
・米ドル高の主因はFEDの金融引き締め加速と米金利の上昇
・米ドル高のパフォーマンスは相対的な金融政策スタンスの差に影響される
・日本円やユーロでもう一段米ドルが上昇する可能性あり
・米国市場は「コロナ後の相場」を意識する展開に
・ドル円 目先の焦点は115円ミドルの攻防
・今年前半の展望
今年前半の外為市場では、パウエルFRB(以下FED)の金融引き締め政策を先取りした米金利の上昇により、米ドル高優勢の展開を予想する。
FEDの引き締め政策
1:テーパリング(資産購入縮小)の終了
2:複数回の利上げ
3:バランスシートの縮小
米国債券市場の動きを確認すると、長期金利(10年債利回り)は、昨年前半からレジスタンスとして意識されている1.7%の水準を再び視野に入れる展開となっている。
そして金融政策の方向性に敏感な2年債利回りも昨年9月の連邦公開市場委員会(FOMC、FEDの政策転換が明確となった会合)以降、上昇トレンドを描いている。
FEDの金融引き締めペースに対する市場の思惑(警戒感)を考える上で重要となるのが、後者の2年債利回りである。この利回りは今年、FEDの金融引き締め政策により上昇トレンドを描く公算が大きい。
2年債利回りが明確に上昇トレンドを描く(上昇幅が拡大する)場合、米ドル相場(DXY)との相関性が長期金利から2年債利回りへシフトする展開を常に意識しておきたい。
特にドル円(USDJPY)は、米金利(日米金利差の拡大/縮小)との相関性が高い通貨ペアである。よって、米ドル相場が2年債利回りの影響を受ける場合、ドル円の上昇幅が拡大する局面が予想される。
米金利のチャート
・各国の金融政策スタンスと米ドル高のパフォーマンス
2022年の前半は米ドル高を予想する。だが、そのパフォーマンスは相対的な金融政策のスタンスで決まると筆者は考えている。
例えば、未だに金融緩和政策を維持している黒田日銀やラガルドECBのスタンスを考えるならば、日本円やユーロではもう一段、米ドル高が進行する展開が予想される。
一方、主要中銀の中でいち早く利上げに踏み切り、かつ連続利上げの可能性が意識されているイングラド中央銀行(BoE)のすたんすを考えるならば、円やユーロと比較して対英ポンドでの米ドル高は限定的となる可能性があろう。
事実、2021年の米ドル相場のパフォーマンスを確認すると、対英ポンドでの米ドル高は限定的となっている。一方、日本円では上昇幅が最も拡大した。これらの差は、相対的な金融政策スタンスの差に起因していることを示唆している。
2021年 米ドル相場のパフォーマンス
・すでにコロナ後を見据えた相場が始まっている
年明け最初の米国市場は、株高と利回りの上昇が同時に発生する典型的なリスク選好相場となった。米国の株式市場では、ダウ平均(DJI)とS&P500(SPX)が最高値を更新。個別では、オミクロン株の悪影響を最も受けるクルーズ株や航空株が軒並み上昇した。
また、国際商品市況ではNY原油先物価格(WTI)が反発した。これらリスク資産の動きは、「コロナ後の相場」を各市場参加者が意識していることを示唆している。
「コロナ後の相場」を見据えて各市場が動き始めている可能性を考えるならば、調整を挟みながらも短期的なリスク選好相場が続くと思われる。よって、ドル円(USDJPY)は上で述べたとおり、もう一段高を想定しておきたい。
目先の焦点は、昨年の最高値115.51レベルの突破である。この水準を突破し、かつサポートポイントへ転換することが確認される場合、116円台の攻防を予想する。
116円台では、2017年1月11日の高値116.85レベル以外、明確なレジスタンスポイントは見当たらない。よって、115.50レベルの突破とその水準の維持に成功する場合は、フィボナッチ・リトレースメント161.8%の水準117.36レベルを視野に上昇する可能性が出てくる。
一方、米株高の調整や米金利の低下局面では、ドル円の反落を想定しておきたい。このケースでは、10日線(SMA、今日現在114.82レベル)や短期サポートライン(今日現在114.05レベル)の攻防が焦点となろう。米国市場がリスク回避相場へ転じない限り、ドル円はこれらテクニカルポイントでの反転を意識する局面にある。
ドル円のチャート
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