米金融株下落に歯止めでもくすぶる不安 金先物価格は年初来高値更新
クレディ・スイスの救済合併発表は金融市場を落ち着かせた。ただし金先物価格は年初来高値を更新しており、投資家不安は消えていない。
信用不安にさらされていたスイス金融大手のクレディ・スイス・グループの救済合併が発表され、20日の米金融市場では金融株の下落に歯止めがかかった。S&P500種株価指数の金融セクター指数は前日終値比で1.2%上昇し、2営業日ぶりに反発した。ただ、金先物価格は年初来高値を更新しており、安定資産への逃避を図る投資家心理は依然としてくすぶっている。
救済合併をひとまずは好感
20日の米株式市場ではオハイオ州を拠点とする地銀のフィフス・サード・バンコープなど、地銀株がそろって値上がり。S&P500種の金融セクター指数は519.15まで上昇した。S&P500指数自体も0.9%上昇し、19日に発表されたUBSグループがクレディ・スイスを救済合併する計画などがひとまずは好感された形だ。
ただし金融セクター指数のSVB問題の表面化から20日までの8営業日での下落幅は11%で、依然として大きい。これまでも金融セクター指数は上下を繰り返しながら下落を続けてきただけに、金融システムの健全性に対する不安が完全に治まったとは言い切れない。
金先物価格は一時は2000ドル突破
投資家心理の不安は市場混乱時の資金の逃避先として知られる金の価格にも表れている。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場では20日、取引の中心である4月物が前日終値比0.5%高の1トロイオンス=1982.8ドルをつけ、2営業日連続で年初来高値を更新した。直近8営業日での上昇率は9.0%で、20日は一時、2014.9ドルをつける場面もあった。
今後の焦点は引き続き、21、22日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で、どのようなメッセージが出されるかだ。CMEグループのフェドウォッチによると、投資家が想定する利上げ幅が0.25%になる確率は日本時間の21日午前7時半の時点で74%。利上げ見送りの確率も26%あると見積もられている。欧州中央銀行(ECB)は16日に計画通りに0.5%の利上げを決める一方で、今後の利上げペースについては減速方向への軌道修正をにじませることで株式市場の混乱を回避した。次回のFOMCでの利上げ幅とともに、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見での発言にも注目が集まる。
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