米金融株が続伸 金先物価格は下落 22日のFOMCでの利上げ幅は0.25%か
SVB経営破綻で始まった米国の金融システム不安が沈静化し始めた。22日はFRBが0.25%利上げを決めるとみられ、今後の見通しが焦点だ。
シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻に端を発した米国の金融システムに対する不安拡大が落ち着きを見せ始めた。21日の米金融市場では金融株が2営業日連続で値上がり。一方、金先物相場は3営業日ぶりに下落し、安定資産である金への資金逃避のおさまりを感じさせた。不安が鎮静化する中で米連邦準備制度理事会(FRB)が22日に0.25%の利上げを決めるとの見方が強まっており、今後の物価や金融政策についてどのような見通しが示されるかが注目されている。
ファースト・リパブリック銀行の株価も上昇
21日の米株式市場ではS&P500種株価指数の金融セクター指数が前日終値比2.5%上昇。SVBとシグネチャーバンクの経営破綻後、預金流出が進んだファースト・リパブリック銀行の株価も約30%上昇した。また、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場では取引の中心である4月物の取引価格が2.1%下落した。
S&P500種金融セクター指数との連動を目指すETF も日本時間の20日夕方から上昇基調に転じている。金スポット価格は日本時間21日午後から22日未明にかけて下落が続いた。米国発の金融不安はスイス金融大手のクレディ・スイス・グループがUBSグループに救済される事態にまで発展したが、投資家の懸念は薄らぎつつあるようだ。
FRBは中期的には利下げ方向との観測
こうした中、FRBのパウエル議長は22日、連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見に臨む。CMEグループのフェドウォッチによると、投資家が見込む利上げ幅が0.25%となる確率は日本時間22日午前10時前の時点で約85%。利上げが見送られる確率の約15%を大きく上回っている。先行きについては、5月のFOMCでも0.25%の利上げが行われ、その後は利下げ方向に進むとの予想が多い。SVB経営破綻の背景にFRBの急速な利上げによる金融機関が保有する債券の価値の下落があるとみられることも、中期的な利下げが意識される要因だ。
一方、パウエル氏はSVBの経営不安が表面化する前の7日の議会証言で、FRBが目標とする物価上昇率2%を達成するまでの道のりは長く、不安定なものになるとの見通しを示し、経済指標の総合的な分析で必要性が確認されれば、「利上げペースを上げる用意がある」と述べていた。
経済指標は物価上昇の強さを示す
14日に発表された2月の消費者物価指数の前年同月比伸び率は6.0%で、依然として高水準。FRBが物価上昇率として重視する個人消費支出(PCE)物価の食品とエネルギーを除いたコア指数も1月まで5%前後での横ばいが続いており、物価上昇の根強さを印象づけている。失業率が3%台半ばという低水準で推移していることも、物価上昇圧力の強さを感じさせる。
欧州中央銀行(ECB)はクレディ・スイスの経営不安が深まる中で開かれた16日の理事会で予告通りの0.5%利上げを行い、物価上昇との戦いを最優先させる姿勢を強調。一方、今後の利上げの有無については方向性を示さないことで、市場の混乱を回避した。パウエル氏が22日の記者会見で、物価上昇への懸念や利上げを続けていく可能性についてどの程度の重きを置くかが金融市場の動きを左右しそうだ。
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