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米経済にハードランディング不安 FRB議長発言で株価と長期金利が下落

FRBのパウエル議長が米議会で0.5%利上げを示唆した。金融市場は株安と長期金利下落で反応し、米国の景気悪化不安の大きさを示した。

出所:ブルームバーグ

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の7日の発言をきっかけに米国経済のハードランディング不安が強まっている。パウエル氏は上院での公聴会で「利上げペースを上げる用意がある」と言及。21-22日の連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利を0.5%引き上げることを示唆した。株式市場は利上げが企業活動の逆風になるとの見方から下落。一方、利上げが景気の悪化を招く結果、FRBは長期的には利下げせざるを得ないとの思惑から米長期金利(10年物米国債の利回り)は下落した。

次回FOMCでの0.5%利上げを示唆

パウエル氏は上院公聴会でFRBが目標とする物価上昇率2%を達成するまでの道のりは長く、不安定なものになるとの見通しを示した。最近の経済指標では景気が予想を上回る強さであることが示されているとし、「最終的な金利の水準はこれまでの想定よりも高くなるだろう」と述べた。そのうえで経済指標を総合的にみて、よりスピード感がある金融引き締めが必要と判断されれば、利上げペースを速めるとした。

FRBは2022年3月に政策金利の引き上げに着手。6月から11月にかけては異例の0.75%幅の利上げを4回連続で行った後、12月は0.5%、今年1月は0.25%と利上げ幅を縮小させてきた。パウエル氏の発言は景気が依然として強いことを認め、次回のFOMCでの利上げ幅が0.5%になることを示唆したタカ派の内容だと受け止められている。

逆イールドが強まる

パウエル氏の発言を受けた7日の株式市場ではS&P500種株価指数が1.5%下落して取引を終えた。また2年物国債の利回りは2007年以来の水準となる5%を超えた。一方、方向感が定まらない動きを続けてきた長期金利は7日、3.975%となり、前日(3.983%)からわずかに下落した。

米国債市場では短期の国債の利回りが長期金利より高くなる「逆イールド」の状況が続いている。通常の経済成長が想定される場面では、将来的に金利は上がっていくとの見通しから、長期金利が短期の国債の利回りよりも高くなる。しかし景気悪化が想定される場面では、長い目でみれば金利の水準は現在よりも下がっていくとの見立てから、長期金利は短期国債の利回りよりも低くなる。このため逆イールドは景気悪化の前触れだととらえられる。

金融情報会社リフィニティブのデータによると、2年国債の利回りは2022年7月初めから長期金利を上回る状況が続いている。7日には両者の差が1%を超え、ロイター通信は1981年9月以来で最大の大きさだと報じた。FRBは大きな景気後退を招くことなく物価上昇を抑える「軟着陸」を目指してきたが、物価抑制とひきかえに景気を悪化させる「ハードランディング」シナリオへの懸念が強まっている形だ。


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