FOMCと外為市場の展望 / 米ドル売りを警戒 / ドル円の短期的展望
今週の注目材料は米連邦公開市場委員会(FOMC)と経済指標。FOMCでは将来(9月FOMC)の利上げ幅が焦点に。経済指標ではGDP速報値に関心が集まる。今週のドル円の焦点とチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
FOMCと外為市場の展望
【サマリー】
・連邦公開市場委員会(FOMC)と外為市場の展望
・FOMC後の米ドル売りと米ドル買いのケースについて
・米経済指標も焦点に なかでも4-6月期の米GDP速報値の内容に注目
・ドル円は短期サポートラインの維持が焦点に
・FOMCと外為市場の展望
展望①:FOMCで米ドル売り
外為市場の参加者の関心は、米連邦公開市場委員会(FOMC)イベントに集まっている。今回の会合では、0.75ポイントの利上げが有力視されている。予想通りの利上げ幅ならば、外為市場は米ドル売りで反応する可能性がある。
しかし、それには条件が付く。その条件とは、9月以降のFOMCで大幅利上げの可能性が後退することである。この点を見極める上で重要な材料となり得るのが、FOMC声明とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見である。先週発表された経済指標は、総じて景気の減速を示す結果となった。
これら経済指標の内容と将来インフレがピークアウトすることを想定し、パウエルFRBが大幅利上げのスタンスを後退させるシグナルを発信してくる場合、米債市場では金融引き締め政策よりも景気後退の方を強く意識すると思われる。
注目はFOMCの結果を受けた長期金利の動きである。6月のFOMC(大幅利上げ)以降、低下トレンドへ転じている。景気後退の可能性が強く意識される場合、長期金利は2.7%の水準を割り込んでる可能性があろう。
米長期金利の低下は、米ドル相場の売り圧力を高める要因となり得る。同時に米国の株式市場では、景気の後退よりも利上げリスクの後退の方が意識されることで、株高となる展開が予想される。FOMC後にリスク選好(米株高)相場が確認される場合は、資源国通貨や新興国通貨を中心に米ドル安優勢の展開が予想される。対欧州通貨でも米ドル安優勢を想定しておきたい。
米長期金利のチャート
展望②:FOMCと米ドル買い
FOMC声明文やパウエルFRB議長の会見でインフレリスクに対する警戒とそれを抑制するための積極的なスタンスがあらためて確認される場合は、短期ゾーンを中心に米金利には上昇の圧力が高まることが予想される。このケースでは、予想通り0.75ポイントの利上げが決定されても9月の大幅利上げの可能性が意識されることで、米金利は上昇で反応する可能性が高い。
一方、米国の株式市場では利上げリスクが意識され、高PERの銘柄や景気敏感株を中心に下落することが予想される。0.75ポイント利上げでも金融政策の見通しに関する思惑次第で米ドル買いとなる可能性があることを意識しておきたい。
展望③:FOMCと米ドル買い その②
また、FOMCが米ドル買いイベントとなるパターンは、もうひとつある。それが「1ポイント」利上げである。
現状、1ポイント利上げの可能性は20%前後とかなり低い(FED Watch)。ゆえにこれが決定される場合は、米債市場での利回り上昇とリスク資産の下落(米国株や国際商品市況の下落)により、米ドル買いの圧力が最も高まると予想する。
さえない経済指標と米ドル売りのリスク
・テクニカル・リセッションの懸念
今週、FOMC以外で注目すべき材料は、米国の重要経済指標である。明日26日から29日まで様々な経済指標が発表される。
なかでも注目されるのが、28日に発表される4-6月期の実質国内総生産(GDP/速報値)である。市場予想(前期比年率)は0.5%増である。しかし、アトランタ連銀が推計する「GDPナウ」では、1-3月期の1.6%減に続き、今回も1.6%減の予想となっている(最新の予測値は今週27日に発表される予定)。予想外のマイナス成長が確認される場合は、テクニカル・リセッション(2四半期連続のマイナス成長)となる。
先週後半の米債市場では、さえない経済指標が材料視され利回りに低下の圧力が高まった。テクニカル・リセッションとなれば、堅調な雇用や個人消費に対しても将来の縮小懸念が高まろう。他の経済指標―7月消費者信頼感指数、6月耐久財受注、4-6月期個人消費(速報値)そして6月個人消費支出などの経済指標も総じて市場予想を下回る内容となれば、景気の先行きリスクに対する懸念をさらに高めよう。
米ドル高に意識が向かう中、今週は「さえない経済指標→米ドル安」のリスクに警戒したい。
アメリカ四半期国内総生産(GPD)の推移
ドル円の焦点と注目のチャートポイント
・139円前半の再トライよりも短期サポートラインの維持が焦点に
週明けのドル円(USDJPY)は、136円台でのスタートとなった。先週22日に安値135.56まで下落する局面が見られたが、反発スタートとなったことでひとまず下落リスクが後退している。
が、139円前半レベルの “レジスタンス化” に加えて、7月に入りサポートラインとして相場を下支えしてきた21日移動平均線(MA / 今日現在136.75前後)をも下方ブレイクしている状況を考えるならば、今のドル円は新たなサポートの水準を見極めることがより重要な焦点と考えられる。
テクニカルの面でその候補(新たなサポートポイント)となり得るのが、短期サポートラインである。ドル円の下落幅が拡大しても、今年3月から始まったドル円の上昇トレンドを象徴しているこのラインで反転する場合は、139円を再トライする可能性が残る。
一方、ドル円が短期サポートラインを完全に下方ブレイクする場合は、今年の2月下旬から3月上旬にサポートラインとして意識された経緯のある75日移動平均線(MA / 今日現在132.00前後)を視野に下落幅の拡大を警戒したい。
ドル円のチャート
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