米ドル高トレンドをサポートする要因とドル円の展望
インフレリスクと米金融引き締めの長期化が意識され、米ドル相場は上昇トレンドを維持する公算が大きい。リスク資産の下落も米ドル相場のサポート要因となろう。今週もドル円は、上値の水準を模索する状況が続く可能性がある。注目のチャートポイントは?詳細はIGレポートをご覧ください。
米ドル高トレンドをサポートする要因
【サマリー】
・根強い米国のインフレリスク 米金利は上昇基調を維持
・インフレリスクで米利上げの最終地点(ターミナルレート)の予測が困難な状況に
・リスク回避相場も米ドル高のトレンドをサポート
・ドル円の焦点とチャートポイントについて
・米国のインフレと米金利の動向
10月のミシガン大学期待インフレ率で、1年先と長期(5-10年先)の期待が予想を上回り、前月から上昇した。
今後も米国経済はインフレのリスクに直面し続ける可能性が高まったことで、米債市場では長期金利(10年債利回り)が4%台へ上昇した。
一方、金融政策の方向性を反映して動く2年債利回りは、2007年以来となる4.528%まで上昇する局面が見られた。
米金利のチャート
・米利上げの最終地点の予測は困難
根強いインフレ傾向(=インフレがなかなか低下しない状況)は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の方向性にも影響を与える。
インフレが低下しないリスクが意識され、11月だけでなく12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75ポイント利上げの可能性が浮上している。
賃金の高止まり傾向や住居費の上昇などにより、今後インフレが低下基調を辿るかどうか?この点について不透明感が強まっている。
ゆえに、今回の米利上げサイクルの最終地点(ターミナルレート)の予測も困難な状況にある。現時点での短期金融市場のFF金利の予想推移を確認すると、4.9%台へ到達する向きが見られる。
米FF金利の予想推移
h3 class="heading">・リスク回避相場と米ドル高トレンド
米国のバイデン大統領は15日、西部オレゴン州で記者団に対して米ドル高を容認する発言をした。
イエレン財務長官も米ドル相場については市場原理で決まるべきと述べており、現在の米ドル高トレンドを容認するスタンスにある。
「インフレのリスク→米金融引き締めの長期化→米金利の上昇」の状況に加えて、米ドル相場に関する米政府要人の言動も考えるならば、米ドル相場は引き続き上昇トレンドを維持する可能性が高い。
米ドル高のトレンドをサポートするもうひとつの要因として、リスク資産の下落にも注目しておきたい。
今年の米長期金利、米ドル相場(ドルインデックス)そして世界株式のトレンドを確認すると、逆相関の関係にある(米金利と米ドル高のトレンドがリスク資産の下落要因となっている)。
そして米金利の上昇とそれに伴う米ドル高トレンドの進行は、新興国の債務リスクを高める要因でもある。新興国株式(MSCI)の年初来パフォーマンスは14日時点でマイナス29.93%と、世界株式のマイナス26.46%を上回る下落率となっている。
また、リスク資産の下落は、オセアニア通貨や資源国通貨などのリスク性の高い通貨の売り要因である。
世界的な金融引き締めの潮流や中国経済の先行き不透明感(=ゼロコロナ対策や米国の制裁がもたらす中国経済への影響)を考えるならば、「リスク資産の下落→リスク性の高い通貨売り」のトレンドは続く可能性が高い。そしてこのトレンドが続く場合、米ドル高のトレンドも続くことになろう。
米長期金利、米ドル相場、株式市場のトレンド
ドル円の焦点とチャートポイント
・どこまで上昇するか?が引き続き焦点に
ドル円(USDJPY)は14日、「インフレのリスク→米金融引き締めの長期化→米金利の上昇」により148円台へ到達し、高値148.86レベルまで上昇する局面が見られた。
上で述べたとおり、現在の外為市場は米ドル高のトレンドが続く環境にある。ゆえに今週のドル円も、どこまで上昇するのか?この点が焦点となろう。
テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション100.0%の水準149.53レベルのトライおよびブレイクに注目したい。
だが、現在の米ドル高トレンドの強さを考えるならばこのテクニカルポイント(149.53レベル)を突破し、節目の150.00をトライする可能性が高まっている。
ドル円のチャート
・反落局面でのサポートポイント
節目の150.00を視野にドル円(USDJPY)の上昇幅が拡大する場合、日本サイドは円買い介入に踏み切る可能性がある。このケースでは、ドル円の下落幅が一時的に拡大するだろう。しかしどの水準まで下落するにせよ、今は米ドル高トレンドが続きやすい状況にある。ゆえに、円買い介入は新たな「米ドル買い/円売り」の機会を市場参加者に与えることになろう。
円買い介入ではなく、さえない米経済指標などにより米金利が低下する場合、ドル円は調整の反落を想定しておきたい。このケースでは、ドル円の下落幅は限定的になると予想する。
テクニカル面での焦点は、8月2日安値130.41レベルを起点とした短期サポートラインの維持である。このラインと並行して21日線(MA)が推移している。これらのテクニカルラインは今週、145円台で推移する。
よって、単なる調整の反落局面では145円台の維持に成功するかどうか?この点に注目したい。フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準146.85および10日線(MA/146.20レベル)を下方ブレイクする場合は、ドル円の短期サポートライン(21日線)のトライを想定しておきたい。
ドル円のチャート
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