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今週の注目材料は米インフレ関連の指標 / ドル円の焦点とチャートポイント

今週の注目材料はアメリカのインフレ関連指標。10日の7月消費者物価指数(CPI)と12日の8月ミシガン大学消費者信頼感指数で米金利、米国株そして米ドル相場が動く可能性あり。ドル円の焦点とチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

今週の注目材料は米インフレ関連の指標


【サマリー】
・強い雇用統計で9月FOMCでの大幅利上げの観測が再浮上
・今週の焦点は米国のインフレ関連指標
・ドル円の焦点とチャートポイント



・大幅利上げの観測再び 強い7月の米雇用統計で

7月の米雇用統計は、労働市場の堅調さを示唆する内容となった。このレポートで注目していた賃金(平均時給)は前月比で0.5%増(予想0.3%増)、前年比で5.2%増(予想4.9%増)といずれも予想を上回った。また、6月の平均時給もそれぞれ0.3%増から0.4%増(前月比)、5.1%増から5.2%増(前年比)へ上方修正された。

強い雇用統計を受けて9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75ポイント利上げの確率が68%と、0.5ポイントのそれを一気に上回る状況となっている(FEDウォッチ/8月8日8時時点)。

金融政策の方向性を予想して動く2年債利回りが3.3%台まで急上昇していることも考えるならば、「インフレリスク→大幅利上げ」の可能性が再びメインテーマとして浮上しつつある。

米2年債利回りのチャート

米2年債利回りのチャート TradingView 15分足(8月5日15時以降)


・今週の焦点は米インフレ関連の指標

7月米消費者物価指数(CPI)と注目ポイント
9月FOMCでの大幅利上げ観測がさらに強まるかどうか?今週は、この点を見極めることが重要な焦点となろう。

この観測を左右する材料として、目先注目すべきは米国のインフレ関連指標である。

10日(水)に7月の消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想(前年比)は8.7%。前月の9.1%からインフレが鈍化する見通しとなっている。一方、食品とエネルギーを除くコア指数は同比6.1%と、前月の5.9%から上昇する見通しとなっている。

CPIが総じて予想以下となる場合は、米債市場の反応を注視したい。インフレの鈍化に金利が低下で反応すれば、米国株は上値をトライする展開が予想される。この局面での外為市場は、米ドル安優勢を想定しておきたい(米金利の低下によるドル売りと株高によるリスク性の高い通貨買いによる米ドル安)。

一方、CPIが予想以上となる場合、米債市場では金利の上昇が予想される。このケースで注視すべきは、米国株の反応である。7月米雇用統計は米国株にとって重石となり得る内容だった。しかし、5日の米国株は取引終盤に買いが入る展開となり、ダウ平均はプラス圏で引けた。強いCPIを受けても同じ展開が確認される場合は、米株式市場での金融引き締め政策に対する織り込み度合いが進んでいることのシグナルとなり得る。

米金利と米国株が同時に上昇する場合、外為市場では米ドル高優勢の展開を想定しておきたい。このケースでは、ドル円(USDJPY)の上昇幅拡大が予想される(米金利の上昇によるドル買いと株高による円売りによるドル円の上昇)。

米消費者物価指数(CPI)の推移

米消費者物価指数(CPI)の推移 ブルームバーグのデータより作成 / 月次(2020年以降)


8月ミシガン大学消費者信頼感指数
今週、もうひとつ注目しておきたい米経済指標が12日(金)の8月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)である。市場予想は52.5(前月51.5)。

消費者マインドを知る上で重要な指標だが、インフレリスクがメインテーマであるとこから、現在は期待インフレ率の動向も重要なファクターとなり得る。

直近の期待インフレ率の推移を確認すると、1年先のそれは低下基調にある。5-10年先のそれは横ばい推移から低下のムードが見られる。CPIの結果にもよるが、低下の傾向が続いていることが確認される場合、米金利の低下要因となり得る。
米国株は「インフレリスクの後退→大幅利上げの観測の後退」で上昇する可能性がある。外為市場では、米ドル売り優勢の展開を想定しておきたい。

一方、期待インフレ率が予想に反して上昇する場合は、「インフレリスク→大幅利上げの観測」が米国市場で意識されよう。このケースでは、「米金利の上昇と米国株の下落→米ドル買い優勢」の展開を想定しておきたい。円相場では、クロス円で円高の圧力が高まることが予想される。

期待インフレ率の推移

期待インフレ率の推移 ブルームバーグのデータより作成 / 月次(2020年以降)

ドル円の焦点とチャートポイント

・136.00レベルの攻防

7月米雇用統計の強い内容とそれを受けた米金利の上昇により、ドル円(USDJPY)は10日MAと半値戻しの水準の突破に成功。再び上値をトライするムードにある。上で述べた米インフレ関連指標で金利がさらに上昇する場合、ドル円は新たなレジタンスポイントを見極めることが重要な焦点となろう。

現在、テクニカルの面で注目したいのが短期レジスタンスラインである。このラインは今日現在135.85レベルで推移している。すぐ上の水準は、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%のレベル(135.95レベル)であり、かつ21日MAも今日現在136.00レベルで推移している。

3つのテクニカル指標のポイントが136.00レベルを挟んで密集していることを考えるならば、ドル円の上昇局面では、この水準(136円前後)が新たなレジスタンスのポイントとして意識されるかどうか?まずはこの点を確認したい。

一方、ドル円が反落する場合は、10日MAがレジスタンスからサポートへ転換するかどうか?この点が焦点となろう。この移動平均線は今日現在、134.27レベルで推移している。

ドル円のチャート

ドル円のチャート TradingView 日足(今年7月以降)


・反落リスクを警戒

なお、通貨オプション市場のリスクリバーサル(25デルタ/1ヶ月)の推移を確認すると、8月以降はドル・プットの流れが後退の基調にある。この動きに連動するようにドル円(USDJPY)の下落圧力も後退している。

だが、8日の動きを見ると再びドル・プットへ傾いている。ドル円は反発のムードにあるが、上で述べたテクニカル指標の水準付近で反落するリスクも警戒しておきたい。

ドル円のリスクリバーサル

ドル円のリスクリバーサル ブルームバーグのデータより作成 / 日足(月初来)

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