米金融引き締めリスクはひとまず織り込む状況に
2021年12月の米消費者物価指数(CPI)は39年半ぶりの7%台へ。しかし米国市場の反応は限定的。米金融政策転換のリスクをひとまず織り込む動きとなっている。外為市場では米ドル売り優勢の展開に。ドル円は114円台へ。目先の注目ポイントは?ー 詳細はマーケットレポートをご覧ください。
【サマリー】
・2021年12月の米CPIでインフレの高進が確認された
・CPIの結果に対する米国市場の反応は限定的だった
・各市場は米金融引き締めリスクをひとまず織り込む局面へシフト
・目先の外為市場の焦点はリスク資産の動き
・ドル円は短期サポートラインの攻防が焦点として浮上
・米国のインフレが加速 市場の反応は限定的
昨日発表された2021年12月の米国消費者物価指数(CPI)は中古車、家賃そしてガソリン価格の上昇により前年同月比で7.0%と、39年半ぶりに7%台へ上昇した。コア(食品・エネルギー除く)も同比で5.5%上昇した。
アメリカのインフレ率(消費者物価指数)
12月CPIの結果に対する米国市場の反応は限定的だった。米債市場では2年債利回りが小幅な上昇にとどまり、長期金利はむしろ低下した。
主要な米株価指数は底堅さを維持するも大きな変動は見られず。VIXやVXNのボラティリティ指数も小幅に低下した。これらの動きは、米国市場がひとまず金融引き締めとそのペースが加速するリスクを織り込んできたことを示唆している。
一方、外為市場では米ドル売り優勢の展開となった。米金融引き締めペースが加速する可能性が意識されている中での米ドル売りは、米国の債券市場や株式市場と同じく、ひとまず米政策転換のペースを織り込んだ動きと捉えることができる。
目先の外為市場の焦点だが、米金利の上昇が短期的に抑制される可能性があることを考えるならば、リスク資産の動きでトレンドが左右されると予想する。
注目のリスク資産はやはり米国株、そして原油や天然ガスなどのエネルギー価格である。前者はこれから決算にらみの展開となるだろう。好決算で株高トレンドを維持するならば、エネルギー価格もその動きに追随する展開が予想される。米金利の上昇が抑制される中でリスク資産全体の価格が上昇する場合、資源国通貨や新興国通貨が対米ドルで上昇する展開を予想する。
逆に、さえない企業決算で米国株が下落する場合は、資源国通貨や新興国通貨で米ドル買い優勢の展開を予想する。
米金利のチャート
・ドル円は短期サポートラインの攻防へ
昨日の米ドル安によりドル円(USDJPY)はあっさりと115円を下方ブレイクし、安値114.36レベルまで下落する局面が見られた。
昨日の下落によりドル円は、テクニカル面で重要な局面を迎えている。その局面とは、短期サポートラインの攻防である。昨年9月22日の安値109.11を起点としたこのラインは、「FRBの政策転換→米金利の上昇」を土台とした上昇トレンドを象徴している。そのラインを下方ブレイクする場合、テクニカルの面でさらなる調整のシグナルとなり得る。
米金利の低下や株安などの要因でドル円が短期サポートラインを下方ブレイクする場合は、50日線(EMA)と75日線(EMA)の攻防に注目したい。これらの移動平均線は、サポートラインとして意識された経緯がある。また、直近の下落局面ではフィボナッチ・プロジェクションの各水準が意識されている。75日線をも下方ブレイクする場合は、プロジェクション100%の水準113.35レベルをトライする可能性が出てくる。
一方、ドル円の反発局面では、昨日レジスタンスラインとして相場の戻りを止めた10日線(SMA)の攻防が焦点となろう。
ドル円のチャート
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