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調整相場が続く状況下でのユーロドルとドル円の焦点は?

さえない米経済指標の内容が続いていることで米金利は低下基調を維持している。米金利の低下により外為市場では米ドル高を調整する動きが続いている。米ドル安にサポートされるユーロドルと反落リスクに直面しているドル円の焦点は?そして注目のチャートポイントは?詳細はIGレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

さえない米経済指標で調整相場が続く


【サマリー】
・8月の米求人件数(JOLTS)が予想外に減少
・さえない米経済指標が利回り低下の要因に
・株式市場ではFRBによる利上げペース鈍化の期待が高まる
・ユーロドルはパリティ水準(1.0)と短期レジスタンスラインの攻防が焦点に浮上
・ドル円は21日線のトライおよびブレイクが焦点に



・さえない米経済指標と調整相場

8月の雇用動態調査(JOLTS)によれば、求人件数が1005.3万件と7月の1117.0万件から予想外に減少した(市場予想は1108.8万件)。前月比の減少幅は110万件以上となり、コロナパンデミックが発生した2020年4月以来の大きさだった。

前日の9月ISM製造業景気指数に続き、雇用関連指標もさえない内容となったことを受け、米債市場では利回りの上昇圧力が後退している。

この動きが好感され、グローバル市場では「米金利の上昇→米ドル高の進行 / 株式市場とコモディティ価格の下落」相場を調整する動きが続いている。

4日の米国株は大幅続伸の展開となり、ナスダック総合指数とS&P500指数は3%超上昇した。さえない内容が続く米経済指標に加えて、豪中銀(RBA)が予想に反して0.25ポイントの小幅な利上げを決定したことで、米連邦準備制度理事会(FRB)も利上げ幅を縮小してくるのではないか?との期待が昨日の株高要因になったとの指摘もあった。

短期金融市場の動向を確認すると、次回の連邦公開市場委員会(FOMC / 11月1~2日に開催)では、依然として0.75ポイント利上げが意識されている。しかし、今日発表される9月ISM非製造業景気指数や明日の同月雇用統計が予想以下の内容となれば、金融引き締めリスクに対する懸念がさらに後退するだろう。11月FOMCの大幅利上げの予測も下振れる可能性がある。

そのような展開となれば、現在の米株高トレンドがもうしばらく続くことが予想される。一方、今日以降発表される米経済指標が総じて予想以上となれば、期待先行相場のもろさが再び露呈し、米国株は反落することが予想される。

米金利、米国株、ドル相場のチャート

米金利、米国株、ドル相場のチャート Trading View 5分足(10月以降)


米金利の低下は、外為市場で米ドル高の調整を促している。米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)の動きを確認すると、110.00ポイントを視野に下落幅が拡大している。

米ドル高リスクの後退は国際商品市場の反発の圧力を強め、それが資源国通貨や新興国通貨をサポートする展開となっている(月初来パフォーマンスを参照)。

米ドル相場の月初来パフォーマンス

米ドル相場の月初来パフォーマンス ブルームバーグのデータより作成 / 基準日:2022年9月30日 / スポットリターン(%)

ユーロドルの焦点とチャートポイント

・パリティ水準(1.0)と短期レジスタンスラインの突破

上で述べた調整相場にサポートされ、ユーロドル(EURUSD)は重要チャートポイントだった0.9860レベルを大陽線で一気に上方フレイクし、パリティ水準(1.0)の攻防が焦点として浮上している。

今日現在、1.0の水準には短期レジスタンスライン(6月9日高値1.07737レベルが基点)がクロスしている。テクニカルの面でも1.0はレジスタンスポイントとして意識されやすい状況にある。ゆえに、1.0以上の攻防となる場合は、ユーロドルがもう一段上昇する展開を想定しておきたい。

実際にユーロドルが1.0以上の攻防へシフトする場合、次の焦点はフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.00445レベルの攻防となろう。この水準の突破にも成功すれば、1.02レベル(全戻し)を視野に上昇幅の拡大が予想される。

ユーロドルのチャート

ユーロドルのチャート Trading View 日足(今年5月以降)

ドル円の焦点とチャートポイント

・調整相場で21日線の攻防が焦点に

ドル円(USDJPY)も調整相場の影響を受け、上値の重い展開となっている。昨日は安値143.88レベルまで下落する局面が見られた。2日連続で陰線が示現した状況は、145円台での「米ドル買い/円売り」に対する市場参加者の気迷いを示唆している。

また、9月以降の相場を見ても、144.90レベルがレジスタンスとなっていることがわかる(日足ローソク足の実体ベース)。このタイミングで今日発表の9月ISM非製造業景気指数が予想以下の内容となれば、反落ムードがさらに高まることが予想される。

実際にドル円が下値トライとなる場合、目先の焦点は、9月下旬の下落を止めた経緯のある21日線の攻防となろう。MAは143.76レベル、EMAは143.14レベルで推移している。

ドル円が21日線をあっさりと下方ブレイクする場合は、9月に相場をサポートした141.70前後の維持が次の焦点として浮上する可能性が出てくる。

一方、上値の注目ポイントは144.90レベルの攻防で変わらず。この水準の突破は145円台へ上昇するシグナルと想定しておきたい。ドル円が145円台の攻防となる場合は、4日のレポートで指摘したとおり145.30台の攻防に注目したい。

ドル円のチャート

ドル円のチャート Trading View 日足(今年8月以降)

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